父の日に絵本!素敵なお父さんとは
父の日に絵本のプレゼント!お父さんのための絵本
絵本の中にも、素敵なお父さんがたくさんいます。職場以上に真剣に(?)子どもと遊ぶお父さん。自宅出産を見守る頼もしいお父さん。出勤前のひととき、息子と朝ごはんを食べる時間を大切にしているお父さん。現実と同じように様々に子どもとかかわるお父さんと、ご自分と重ね合わせてみれば、ほろりときたり、ちょっと笑えたりするかもしれませんよ。
お父さんを題材にした絵本は数多くありますが、今回選んだ5冊は、子どもとの関わりの向こうに、お父さん自身の頼もしい人生が見え隠れしているような気がします。しっかり自分の足で立っているからこそ、わが子を客観的に愛情深く見つめているともいえるでしょう。父の日には、ナイスパパ賞を贈りたいお父さんたちのベスト5をガイドが独断で選んでみました。
お父さんの読み聞かせ
普段とは違う大人による読み聞かせは、子どもにとってはとても新鮮です。お父さんの読み聞かせも、最近は定着してきた感があります。読み聞かせにルールはありません。登場人物になりきって、情感たっぷりに読むもよし、静かに淡々と読むもよし。お父さんの低い声は、子どもの絵本タイムに落ち着きをもたらし、普段と違うスパイスを効かせることができるでしょう。基本は、お子さんが持ってくる絵本を読むのでOK。同じ本を何度読んでもかまわないのです。もし、お父さんが好きな絵本があれば、上から押し付けるのではなく、「お父さんはこれが好きなんだけどな」と差し出してみてください。親子で趣味が合うといいですね。
第5位 外と家ではこんなに違う?『おとうさん おとうさん』
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魚屋さん、運転手さん、おまわりさん。いろんな職業のお父さんがいますが、家ではみんな、どんな風にお父さんをしているのでしょう。同じテーマの絵本はほかにもありますが、村上勉さんの味のある絵にひかれます。
ネコのお父さんが魚屋さん(大好物?!)、イヌのお父さんがおまわりさん(歌の通り!)、ブタのお父さんがコックさん(いかにもおいしそうなお料理!)など、ひょうひょうとした動物のお父さんたちの素性そのものがユーモラスです。簡単な文であっという間に読めますが、じっくり絵を眺めたい絵本です。会社勤めのお父さんも、子どもに分かりやすく職業を語れるといいですね。
■『おとうさん おとうさん』
作:村上勉
出版社:あかね書房
出版年:1997.2
第4位 だるまちゃんのため一生懸命『だるまちゃんとてんぐちゃん』
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だるまちゃんとてんぐちゃんは大の仲良しです。てんぐちゃんが持っている天狗のうちわや帽子がうらやましいだるまちゃん。お父さんのだるまどんに、「てんぐちゃんのようなうちわがほしいよう」「てんぐちゃんのようなぼうしがほしいよう」とおねだりします。
だるまちゃんの願いをかなえたい、大きなだるまどんは、息子のために一生懸命になってうちわや帽子を出すのですが、どれもこれもピントはずれなものばかり。でも、たくさんのうちわやへんてこりんな帽子を見ながら、だるまちゃんは自分で「いいこと」を思いつきます。また、最後には、てんぐちゃんのような「はな」が欲しいだるまちゃんのために、だるまどんは汗をかきかき、おもちで素敵な長い鼻をこしらえてくれました。
小さなだるまちゃんのために奮闘するだるまどんに乾杯!です。そんなお父さんのことを、だるまちゃんはきっと大好きなのでしょうね。
■『だるまちゃんとてんぐちゃん』
さく/え:加古里子
出版社:福音館書店
出版年:1967.2
第3位 第3子を迎えるパパ『おとうさんがおとうさんになった日』
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自宅出産で3人目の赤ちゃんを迎えることになったお母さん。その日、お父さんは上の男の子と女の子と一緒に静かに出産を待ち、子どもたちと話をします。
「おしえて、おしえて。おとうさんがおとうさんになった日のこと」
第1子であるお兄ちゃんの誕生のとき、第2子の初めての女の子の誕生のとき。そばで見守ったり、里帰り先から連絡を受けたりしたお父さんがどんな気持ちで子どもを迎えたか、語りかける声と色鉛筆の絵に、こちらまでじーんとしてしまいます。
お兄ちゃん、お姉ちゃんのときのことを思い出しているうちに、お母さんに陣痛がやってきて、立派に出産します。支えるお父さんのきりりとした眉毛も、心配そうにしながらしっかり見つめる子どもたちの表情もとても豊か。こんな風に迎えられた赤ちゃんは幸せですね。誕生の幸福と、親であることの幸福が存分に伝わってきます。ぜひ、お父さんの声で読んであげてください!
■『おとうさんがおとうさんになった日』
作:長野ヒデ子
出版社:童心社
出版年:2002.5
第2位 遊び上手なパパ『ピッツァぼうや』
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雨が降ってきたせいで、外に出かけられなくなったピートはご機嫌ななめです。かわいそうに思ったお父さんは、ピートをピッツァに見立てて遊びはじめました。
「そうだ ピートでピッツァをつくったら たのしくなるかもしれないぞ」
憮然とした表情のピートがお父さんにだっこされてにっこりする、その表情の対比がいいです。その後は、大真面目にピートのピッツァ作り。お母さんも時折まじりながら、ピートをひっぱったりのばしたりして生地作り。空中とばしに油を少々。思いっきり体と頭を使って遊ぶ、ほんの短い午後のひとときですが、お父さんのユーモアと体力に、ピートは大喜びでした。雨が上がって出かけていく姿は、「遊んでもらった」満足感でいっぱいですし、それを見守るお父さんの表情がこれまた頼もしい。おもちゃがなくても、外に出られなくても、自在に子どもと遊べるお父さんはいいですね!
■『ピッツァぼうや』
作:ウィリアム・スタイグ
訳:木坂涼
出版社:セーラー出版
出版年:1998/2000.3
番外編『あそぼう あそぼう おとうさん』
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■『あそぼう あそぼう おとうさん』
さく:浜田桂子
出版社:福音館書店
出版年:1993.6
第1位 大きくなってもこんな風に『きんようびはいつも』
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登場する「ぼく」は、もう一人で小学校に通えるほどの年齢の少年です。いつの頃からの習慣か、毎週金曜日は朝早くお父さんと一緒に家を出て、近所で朝ごはんを食べることになっています。金曜日は、いつも楽しみな日。大好きな曜日なのです。朝、ゆっくりと散歩をする。顔なじみに手を振り、犬の数を数え、いつものメニューを食べながら、いろんなお話をします。ゆったりとした表情のパパと、パパを見上げる「ぼく」の見開きページからは、にぎやかなお店の中なのに、この席だけ、ぐっと濃密にゆったりとした空気が流れているように感じられます。
作者は実際に、息子さんと毎週金曜日に近くのダイナーで朝ごはんを食べているそうです。3歳のときからの習慣なのだとか。この絵本では、お母さんは赤ちゃんのお世話で忙しく、それゆえに、お父さんと息子の密な時間が生まれるのですが、ささやかでいい、短い時間でもいい、昼間は仕事をしていることの多いお父さんだからこそ、わずかな間でも何か心いやし、子どもとつながれる時間を持つことの大切さを感じます。子どものためにも、自分のためにも。
■『きんようびはいつも』
作:ダン・ヤッカリーノ
訳:青山南
出版社:ほるぷ出版
出版年:2007/2007.12
いかがでしたか?父の日には、お父さんをお父さんにしてくれた子どもたちのために、お父さんの声での読み聞かせはいかがでしょうか。
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