名前はどうしてがらがらどん?

『三びきのやぎのがらがらどん』は、ノルウェーのアスビョルンセンとモオが採集した北欧民話です。スウェーデン語では「De Tre Bukkene Bruse」(「三匹のやぎのブルーセ」)という題名で、「Bruse」という名前には「うなり声、騒音」という意味があります。英訳は「The Three Billy Goats Gruff」で、「Gruff」は「しわがれ声、ぶっきらぼうなしゃべり方」という意味です。

瀬田貞二さんはうるさい感じやしゃがれ声をイメージして「がらがら・どん」、という日本語にしました。「さん」とか「君」という意味の「どん」ですが、とても語感がいいです。「やぎのがらがら」では、この絵本のおもしろさは半減するような気がしませんか?

3匹がどういう関係なのかは特に語られていないところに、想像力の余地があります。家族や兄弟かもしれないし、友だち同士かもしれません。でも、その中で知恵と力を働かせて強欲なトロルを倒し、すばらしく「おなかいっぱい」になるところに読者は爽快感を覚えます。三人寄れば文殊の知恵。三本の矢は折れない。力でトロルをねじふせたのは大きながらがらどんでしたが、最終的にはチームワークの勝利です。

もとのお話は「三匹のオスヤギ、ブルーセ」

『太陽の東月の西』
ここで購入!アスビョルンセンとモオが編んだ『ノルウェーの民衆の冒険物語』から18編が収録されています。
『三びきのやぎのがらがらどん』は、北欧民話として大変有名なお話です。北欧民話集の『太陽の東月の西』には「ふとりたくて丘にゆく三びきの牡ヤギ・ブルーセ」という題名で収録されています。

「いいとも、さあこい!ぼくには、二本のやりがある。おまえの目玉を、耳のとこまでえぐってやろう。おまけに、丸くて重い、二つの石ももってるぞ。おまえのからだを粉々に、骨もいっしょにくだいてやろう」
(「ふとりたくて丘にゆく三びきの牡ヤギ・ブルーセ」)

「さあこい! こっちにゃ 二ほんのやりが ある。これで めだまは でんがくざし。おまけに、おおきな いしも 二つ ある。にくも ほねも こなごなに ふみくだくぞ!」
(『三びきのやぎのがらがらどん』)

字数制限の厳しい絵本では瀬田さんのリズミカルな訳が光り、迫力が伝わります。より文学に近くなっているともいえるでしょう。「ふとりたくて丘にゆく三びきの牡ヤギ・ブルーセ」には、いかにもその土地の言葉で語られた民話の趣があります。

■『太陽の東月の西』
編:アスビョルンセン
訳:佐藤俊彦
出版社:岩波書店
出版年:1944/2005.5
価格:1,050円(税込)


マーシャ・ブラウンの深みのある絵

The Three Billy Goats Gruff
ここで購入!『三びきのやぎのがらがらどん』の元になっているマーシャ・ブラウン版です。
The Three Billy Goats Gruff
ここで購入!やぎが意味ありげにほほえんでいるようなポール・ガードン版です。
The Three Billy Goats Gruff
ここで購入!初歩的な「読みもの」です。字のフォントも女の子っぽいケティ・サンダース版です。
お話が簡潔であるゆえに、『三びきのやぎのがらがらどん』はむしろ、画家のマーシャ・ブラウンの絵本として認識されています。おいしい草が生えている山の上のほうをうれしそうに眺める3匹のやぎの絵から始まり、谷川の岩場と一体化したトロルの迫力もその対決のすごさも、絵によって語られます。少しくすんだ、水色と黄色と茶色を基調にした絵本には、野の落ち着きがあり、悪との対決の緊迫感とその後、おいしい食べ物で満たされに行く解放感の対比が見事ですね。

洋書では「The Three Billy Goats Gruff」の絵本や読み物が何冊も出ています。違う絵を見てみるのも新鮮かも!

■ Three Billy Goats Gruff(ペーパーバック)
絵:Marcia Brown
出版社:Voyager Books
出版年:1991.2
価格:822円(税込)

■ Three Billy Goats Gruff(ペーパーバック)
絵:Paul Galdone
出版社:Clarion Books
出版年:1981.9
価格:790円(税込)

■ Three Billy Goats Gruff(ペーパーバック)
絵:Katie Saunders
出版社:Make Believe Ideas
出版年:2006.5
価格:525円(税込)


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