子どもの歯のお悩みには、くり返し読みたくなる絵本を選ぶのがコツ!

歯みがきする女の子

「歯をみがこう」という気持ちを持続させるためには、定期的に読むのが大切。そんな大人の下心(!)に応えてくれるのが、何度でも読みたくなる魅力的な絵本です

歯みがきの意味が理解できない小さな子にとって、歯みがきは、「口の中に異物を入れられて、ゴシゴシされる(しかも時々痛い)時間」なのかもしれません。そう考えると、口を開かなかったり逃げてしまったりすることは、仕方がない……? いえいえ、どんなことだって、楽しくできた方がいいに決まっていますよね。

これからご紹介するのは、子どもの好奇心を刺激しつつ、子どもの歯についての大人の悩みにそっと寄り添ってくれる絵本です。



歯みがきタイムがあっという間に終わる声かけや動画。自然と歯ブラシに手が伸びる、虫歯の知識。歯の生えかわりや初めての歯医者さんについての心の準備― 今のご希望はなんでしょう? その時々にぴったり合った絵本を見つけてください。

自分の口の中という、知っているようで知らない世界を親子でたっぷり旅してくださいね! 歯の衛生週間・むし歯予防デーにもどうぞ。

1 朝、歯をみがいてすっきりしよう!『はみがきさん』

『はみがきさん』(せなけいこのえ・ほ・ん7)

『はみがきさん』(せなけいこのえ・ほ・ん7)


毎朝お日さま出るときに、やってくるのは「はみがきさん」。はみがきさんが来てくれたら、ライオンさんやうさぎさんも「しゅっ しゅっ しゅっ」と歯をみがきます。いろいろな動物たちと一緒なら、と子どもたちも口を開けてくれます。

どこから来るのか分からない、ちょっぴり不思議なはみがきさんですが、虫歯のメカニズムはまだ分からない小さな子には、「虫歯になるよー!」なんておどかすよりも、こんなふうに優しく歯みがきをうながしたいですね。

作者は『ねないこだれだ』『おばけのてんぷら』などで数々のロングセラーで知られる、せなけいこさん。『はみがきさん』の後書きで、お話の最後について「蛇足ではあるけれど、落語のおちみたいなもの」と語っています。そう、歯みがきの絵本にはなかなか出てこないけれど、ついやってしまう子も少なくない、あのことについて書かれているのです。にやーっとする子どもも多い、意表を突いた楽しいラストです。

【書籍データ】
書名 『はみがきさん』(せなけいこのえ・ほ・ん7)
作・絵 せなけいこ
出版社 ポプラ社
価格 950円
対象年齢 2歳から

 

■せなけいこさんの絵本いろいろ

 


2 子どもがあーんと口を開けてくれる『はみがきれっしゃしゅっぱつしんこう』

『はみがきれっしゃしゅっぱつしんこう』

『はみがきれっしゃしゅっぱつしんこう』


歯みがきが大嫌いなたっくんのところへ、「しゅっ しゅっ しゅっ」と来てくれたのは、歯ブラシのはみがきれっしゃ。

はみがきれっしゃは、「まえのはえきー」「しゅっ しゅっ しゅっ」「ぽー」と走ります。時には取りにくい汚れもあるけれど、そんなときには後ろへまわって「しゅっ しゅっ しゅっ」。食べたもので汚れていた歯が、はみがきれっしゃのおかげで、つるつるピカピカになりました。

物を食べた後の口の中が汚れていること、それは歯みがきできれいになることが、小さな子どもにもしっかりと伝わるので、口の中で何が起こっているか分からないために歯みがきを怖がる子には効果てきめんです。

かわいらしくて頼もしいはみがきれっしゃとリズミカルなフレーズが、「歯みがきって楽しいな」という気分にさせてくれます。


【書籍データ】
書名 『はみがきれっしゃしゅっぱつしんこう』
著 くぼまちこ
出版社 アリス館
価格 1080円
対象年齢 2歳から

 

3 画面から泡があふれてくる! 歯みがきタイムの大冒険『はみがきあわこちゃん』

『はみがきあわこちゃん』

『はみがきあわこちゃん』


朝、あわこちゃんがいつものように歯みがきをすると、「ぶくっ ぶくぶくぶくぶく~!」と泡が口から飛び出してきました。町もお山も泡だらけ。スキーで泡の上を滑ることにしたあわこちゃんの、大冒険が始まります!

一度見たら忘れない印象深いピンク色に、イラストにぴったりの手書きの文字、奇想天外なストーリー。「ぽよん ぽよん するー するー」「もこもこもこもこ~!」とオノマトペもたっぷり。『はみがきあわこちゃん』は、あわこちゃんの勢いで駆け抜けるような、未だかつてない歯みがきの絵本です。

いつも楽しげなあわこちゃんの、「まえばを しゅっしゅっ おくばを しゅっしゅっ はみがき しゅっしゅっ あわわわわ~」というフレーズは、実際の歯みがきにも効果的。動画「あわこちゃんのはみがきマーチ」は、歯みがきの目標時間3分に合わせられているので、歯みがきをするときに流せば、終わりまでにきっちり磨けてます。あわせてどうぞ!

【書籍データ】
書名 『はみがきあわこちゃん』
作・絵 ザ・キャビンカンパニー
出版社 すずき出版
価格 1404円
対象年齢 3歳から

4 知識と楽しさが凝縮された、大人気の科学絵本『はははのはなし』

『はははのはなし』(かがくのとも傑作集)

『はははのはなし』(かがくのとも傑作集)


『はははのはなし』は、歯の役割や虫歯になる理由など、様々な歯の疑問に答えてくれる絵本です。一見難しそうに感じられるかもしれませんが、子どもたちは意外なほど興味津々。自分にもある歯のことですから、やっぱり知りたくなるのですね。

ユーモアがあって、耳で聞いても理解できる文章に、スッキリと分かりやすい絵。さらに、「どうして 『は』を みがいているのに 『むしば』に なるのでしょう?」というように、各ページの最後が問いかけになっていて、ページをめくるとその説明があるという構成が、子どもたちをぐいぐい引っ張ります。
虫歯のメカニズム

このページを見れば、どうして虫歯になるのかが一目で分かります。どのページも、分かりやすく、深く印象に残ります


『はははのはなし』を読むことで、歯は体の一部であり、歯みがきだけでなく、食事や身体全体とのつながりがあるということがよく分かります。歯が、絵本を読む前とは違うもののように感じられる、そんな驚きの体験は、子どもたちの科学の芽を育ててくれるでしょう。

作者は『からすのぱんやさん』でおなじみの加古里子さん。実は、『はははのはなし』だけでなく、数多くの科学絵本の作者でもあります。今のお父さん・お母さん世代にも、子どもの頃読んだという方の多い、歯の絵本のロングセラーです。

【書籍データ】
書名 『はははのはなし』(かがくのとも傑作集)
ぶん・え 加古里子
出版社 福音館書店
価格 972円
対象年齢 4歳から

■かこさとしさんの歯の絵本

 

5 のびのびいい歯に! 小さな子も楽しめる科学絵本『いーはとあーは』

『いーはとあーは』(幼児絵本シリーズ)

『いーはとあーは』(幼児絵本シリーズ)


「はを みせてちょうだい」「いー」「あーって いって みせてちょうだい」「あー」

『はははのはなし』よりも、もう少し小さいお子さん向けの歯の科学絵本がこちら『いーはとあーは』。
『いーはとあーは』

他の人と比べたり、順番に見ていったりするのが、小さな子にも分かりやすい!



何より、「いーだと いいけど、あーだと あきまへんなあ」なんて、のんびりユーモラスな口調と、笑顔はにっこにこ、痛そうな顔は心底痛そう……というインパクトのある絵が本当に楽しいのです。好奇心のツボを押された子どもたちは、自然と歯に興味が出てくるので、大人も「歯みがきさせなきゃ!」という余計な力がすーっと抜けて、おおらかな気持ちになれますよ。

仕上げみがきや、歯みがきのコツにも触れられているのも、大人としてはありがたいポイント。日々の歯みがきに「こちょこちょこちょこちょこちょ」と使ってください。

【書籍データ】
書名 『いーはとあーは』(幼児絵本シリーズ)
さく やぎゅうげんいちろう
出版社 福音館書店
価格 972円
対象年齢 2歳から

■やぎゅうげんいちろうさんの体の絵本

6 スリルとユーモアを楽しむ『むしばいっかのおひっこし』

『むしばいっかのおひっこし』(講談社の創作絵本)

『むしばいっかのおひっこし』(講談社の創作絵本)


きれいに磨かれた口の中に住んでいる「むしばきん」の一家は、いつもおなかを空かせています。そこで、「むしばふどうさん」のおすすめで、お菓子がたっぷり食べられて、歯みがきの心配のない優良物件(つまり汚れた口の中)に引っ越すことにしました。

むしばきんたちが楽しければ楽しそうなほど、優良物件である女の子は歯が痛むよう。新居のおひろめパーティーの「ピアノの リズムで、ガンガンガン! たいこの リズムで、ズキズキズキ!」なんて、リズミカルで楽しい一方で、ちょっぴりゾワゾワしてしまいますよね。

結局、女の子は歯医者さんに行き、毎日歯みがきをするようになったので、むしばいっかはまた引越しすることになりました。

キラキラとおいしそうなお菓子に、ポジティブに一生懸命生きているむしばきん。その明るさとかわいさゆえに、余計にヒヤリとさせられます。虫歯ができる原因も理解できるので、「むしばいっかが引っ越してこないように」と歯みがきをしたくなりますよ。

【書籍データ】
書名 『むしばいっかのおひっこし』(講談社の創作絵本)
文・絵 にしもとやすこ
出版社 講談社
価格 1512円
対象年齢 4歳から

7 歯が抜けたらどうするの? 『たかちゃんの ぼくのは、はえるかな』

『たかちゃんの ぼくのは、はえるかな』(みつばちえほんシリーズ)

『たかちゃんの ぼくのは、はえるかな』(みつばちえほんシリーズ)


下の歯は屋根の上、上の歯は縁の下に投げる― 乳歯が抜けると、日本ではこんな風にしてきました。でも、今は「縁の下」がないおうちも多いもの。おねえちゃんの歯が抜けた、たかちゃんのおうちもそうでした。

そんなたかちゃんに、おとなりのおじいちゃんは「はを じめんにでも うえたら いいんじゃないかな。きっと りっぱな はが はえてくるぞ」と教えてくれました。

たかちゃんははりきって、おねえちゃんの歯を花壇に埋め、水をかけます……。

なんともかわいらしいたかちゃんの勘違い。歯のことで頭をいっぱいにして、くるくると表情を変えながら駆け回るたかちゃんに、「大人の歯」に憧れるこの年頃の子どもたちは親しみを持ちます。歯が抜ける頃に、読んであげたい1冊です。

【書籍データ】
書名 『たかちゃんの ぼくのは、はえるかな』(みつばちえほんシリーズ)
さく・え さこももみ
出版社 佼成出版社
価格 1404円
対象年齢 4歳から

 

■「歯が抜けたらどうするの?」は、こちらもどうぞ!

■たかちゃんシリーズ


8 キラキラと輝く、子どもの日常『海べのあさ』

『海べのあさ』

『海べのあさ』


ある朝、サリーは、歯が1本ぐらぐらしていることに気付き、慌ててお母さんを呼びました。今日はお父さんと船で出かける日です。歯のせいで行かれなかったらどうしよう……。

でも、お母さんに、それが大きな子になったという印であること、抜けた歯を枕の下に置いて何かをお願いすると、その願いごとが叶うと言われているということを教えてもらい一安心。さあ、お出かけの支度を始めなければ。

初めて歯の抜ける戸惑い、喜び、誇らしさ。サリーの揺れる心は、そのまま子どもたちの感情を揺らします。「大きな子になった印」は、大きくなりたいと思っている子どもにとって、どれほどうれしいことでしょうか。子どもたちの顔を見ていると、子どもは皆「大きくなりたい」「できるようになりたい」と思うようにできているのだと痛感します。

まっすぐまっすぐ伸びていくサリーを見守るのは、頼もしい大人たちだけではありません。それは、ぐんと背の高い木に、長く続く浜辺、いろいろな種類の鳥、それからアザラシ― そう、豊かな自然です。モノクロの絵はとても美しく、表情豊か。小さな妹のジェインや猫などの動きも見逃せません。

もちろん、船での買いものを、子どもたちがうらやましがらないはずがありません。その上サリーはお店でアイスクリームを食べるのですから!

『海べのあさ』には、とりたてて大きなドラマはありませんが、これ以上はないというほど美しい日常が描かれています。長く読み継がれている傑作絵本です。

【書籍データ】
書名 『海べのあさ』
作 マックロスキー文・絵
出版社 岩波書店
価格 1836円
対象年齢 5歳から

■「歯が抜けたらどうするの?」世界のいろいろ
■小さい頃のサリーの物語

9 歯医者さんに行くことになったら『たっちゃんむしばだね』

『たっちゃんむしばだね』

『たっちゃんむしばだね』


虫歯ができてしまったたっちゃん、歯医者さんに行きますが、歯をコツコツされてびっくり! それきり口を開けないので、治療ができません。そのうち夜中にずきんずきんと痛くなってきて……。

歯医者さんの機械独特のジーという音、頭に響いてくるようなコツコツ…… 大人でも嫌なものです。歯医者さんに行くのが初めてならば、なおのこと。たっちゃんでなくても驚いてしまいますよね。

この絵本には、「歯医者さん嫌だ!」という子どもの気持ちがたっぷりつまっています(もちろん、「困る!」というお母さんの気持ちも、です)。でも、虫歯になってしまったら、やはり歯医者さんに行かないわけにはいけません。たっちゃんの頑張る姿、ちゃんと治して安心した笑顔は、「歯医者さんに行ってみよう」、そして「歯みがきしよう」という気持ちにさせてくれます。

作者は、「こぐまちゃん」シリーズのわかやまけんさん。こぐまちゃんの世界とは違う、優しい黄色やオレンジ、たっちゃんやおかあさんの豊かな表情は、ほのぼの懐かしい感じであたたかみがあります。こぐまちゃんや『わたしのワンピース』のうさぎさんがこっそり登場している、こぐま社ならではの遊びもお見逃しなく。

【書籍データ】
書名 『たっちゃんむしばだね』
著者 森比左志・わだよしおみ・わかやまけん
出版社 こぐま社
価格 756円
対象年齢 3歳から

 

10 今、子どもたちが1番行きたい歯医者さん! 『歯いしゃのチュー先生』

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 『歯いしゃのチュー先生』(児童図書館・絵本の部屋)


ネズミのチュー先生は、いつも患者が絶えないほど腕利きの歯医者さん。はしごや、身体を宙づりにする特別な設備を使って、ブタやロバなど大きな動物も治療します。ただし、ネコなどの危険な動物の治療はお断り。中には入れてあげません。

そんなチュー先生のところに、ほっぺを包帯でぐるぐる巻きにしたキツネがやってきました。1度は断ったものの、結局は治療を引き受けたチュー先生。けれどよくなってきたキツネはチュー先生を食べようとします……。

歯科医という仕事を誇りに思っているチュー先生と、キビキビと働くしっかり者のおくさん、紳士風なのにずるいキツネと、それぞれのキャラクターが魅力的。命がけの治療に緊迫しているのにどこかユーモラスな雰囲気が漂い、動物たちの服装や街並みはおしゃれで、まるで映画のようです。

チュー先生が歯の治療をしている場面は、細かい道具も面白く、見ごたえがあります。チュー先生には宙づりになってもらわないといけませんが、ここなら行きたいねと、憧れてしまう歯医者さんです。

【書籍データ】
書名 『歯いしゃのチュー先生』(児童図書館・絵本の部屋)
ぶんとえ ウィリアム・スタイグ
やく うつみまお
出版社 評論社
価格 1404円
対象年齢 5歳から

■歯医者さんと患者さん、両方の気持ちが分かるユーモア絵本

 

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