絵本/絵本関連情報

大人が読んでも泣ける!恋に効く絵本(3ページ目)

週刊アスキーとのコラボ企画「「ガイドいちおし! 大人にも薦めたい絵本ベスト5」です。恋愛にフォーカスして、珠玉の5冊をご紹介します。ストレートな愛あり、涙のにじむ結末あり、です。

執筆者:鈴木 宏枝

第1位 生きる意味を知る『100万回生きたねこ』

『100万回生きたねこ』
ここで購入!100万回の輪廻転生を繰り返してきたねこが1匹の白ねこに出会って、本当に生きる意味を知ります。
俗に、「猫は9つの魂を持つ(A cat has nine lives)」などといいますが、このねこはすごい。100万年も生きていて、100万回も生き死にを繰り返しています。あるときは王様に飼われ、あるときはサーカスで芸をし、あるときはおばあさんの話し相手。そのすべてをねこは覚えていました。では、そのたびにいい人生を送ったのかといえば、その正反対でした。ねこは誰のことも馬鹿にし、何度も生まれ変わっても、相手に愛情も別れの悲しみも感じませんでした。

あるとき、野良猫に生まれ変わったねこ。自己愛に満ち、相手のことなどかまわず100万回の転生を自慢していたねこは、1匹の白ねこに出会ってはじめて本物の愛を知ります。

ねこは、白ねこと いっしょに、いつまでも 生きて いたいと 思いました。

自分ひとりだったら100万年でも生きつづけるでしょう。しかし、命ある相手と寄り添うとき、必ずそこには別れが訪れます。愛することを知り、愛する人の死を知ったとき、ねこは永遠の眠りにつき、二度と輪廻転生しません。愛情と生きることの意味を、これほど見事に表現した絵本はないでしょう。

ねこは もう、けっして 生きかえりませんでした。

傑作の誉れ高く、ミュージカルにもなっているほどの作品ですが、どうぞまずは絵本で。白ねこを抱きかかえて慟哭する絵は圧巻です。こんな風に愛し愛されることが生のもっともよき形だということが実感として分かります。そんな出会いを私たちもこの世で得たいですね。いかにもドラ猫な表紙のねこと、慈しみあふれる裏表紙のねこを見比べると、ジーンとします。

■ 『100万回生きたねこ』
作・絵:佐野洋子
出版社:講談社
価格:
発行:1977.10


いかがでしたか? 絵本は決して子供だけのものではありません! 大人にもぜひオススメしたい絵本たちでした。人生の機微や人間関係の妙を分かってこそ楽しめる絵本もあります。どうぞ、ご自分のスペシャルな絵本も見つけてみてくださいね。



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