水色のハート
水色のハート。大人の恋に絵本のスパイスを
今回は、『週刊アスキー』とのコラボ企画、「ガイドいちおし! 大人にも薦めたい絵本ベスト5」です。絵本は特に子どもにふさわしいメディアですが、「実は絵本が好き!」という大人も多いと思います。本が好きで絵本の奥深さを知った方、子どもに読んでいるうちにその魅力にはまった方。いろんな絵本ファンの大人がいらっしゃいますよね。

切り口に迷った末、「大人に分かる機微」という点で恋の絵本をセレクトしてみました。恋愛といっても体裁は絵本ですから、子どもが読めば友達同士の仲良しや、パパやママの愛というものもあるでしょう。逆にいえば、子どもから大人まで様々な人の心の感情を引き出せる絵本は、それだけ質が高いということもいえます。では、レッツランキング!

第5位 スゴみのある恋『桃子』

『桃子』
ここで購入!修行僧の天隆は、寺に預けられた7歳の桃子に心を奪われてしまいます。恋を成就できなかった二人には数奇な運命が待っていました。
7歳の少女「桃子」は、家庭の事情で3ヶ月間だけお寺に預けられました。お世話係兼遊び相手に選ばれたのが19歳の修行僧の天隆。天隆は僧でありながら、桃子にせがまれて虫や小動物を殺生し、言いなりになっていきます。桃子を想う天隆と、天隆を慕う桃子。二人の関係はあやういものになっていきます。

恋をしております

恋愛を描かせたら天下一品の江國香織さん。『桃子』はデビュー作で、児童文学雑誌「飛ぶ教室」に投稿・入選しました。評価を得ている短編を絵本にするのはチャレンジだったと思いますが、どこかコミカルな飯野和好さんの絵が意外にもりんとした冷たさをたたえる話にぴったり合っています。一方で、小説のイメージが壊されませんでした。心の深みそのもののような青い大輪の花と、そこにとまったきり動かない、あどけない目をした小鳥に、まさに恋の凄みを感じます。

■ 『桃子』
文:江國香織
絵:飯野和好
出版社:旬報社
価格:¥1,365
発行:1989/2000.12

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