子供や赤ちゃんの食器はどんな素材が安全か?
子供の食器はどんな素材が安全か?
<目次>
ポリプロピレンなどの素材でできた食器は安全? 食器の種類と性質
きれいなプラスチックの食器ですがそのデメリットも指摘されています。
現在よく使用されているものは、プラスチック。プラスチックには、子ども用食器に使われている原材料表示のポリプロピレン・メラミン・ポリカーボネートなどがあります。加工の段階で添加剤として、可塑剤(柔らかくする)・安定剤(熱や紫外線からの劣化を防ぐ)・界面活性剤(静電気を防止したり、曇りを防止する)・難燃剤など、他にも着色剤や充填剤や発泡剤などが使われます。これらのプラスチック製のものは、低温で造られるので熱に弱く、性質上原料が溶け出す恐れもあります。
もうひとつ、陶磁器と呼ばれるものには、陶器・磁器・ガラス・強化ガラスなど、日常の食卓で多く使用されているものがあげられます。1000度を超える高い温度で焼かれて造られるので、溶出がほとんどなく、安全性が高い素材です。傷もアルマイトやプラスチックよりつきにくく、耐久性も優れています。短所は、割れやすく重たいと言う点です。
あとは漆器のように、天然木の木地に漆を塗って丁寧に仕上げたものもあります。スプーンや箸などには、竹でできたものもありますね。木でできた器は、軽くて陶磁器のように割れにくいのが特徴です。特に漆器などはその素材と安全性から、地場産業と結びつきながら学校給食で利用している自治体が増えています。
ポリプロピレンの危険性とは……プラスチックの有害性
先ほどあったプラスチックのポリプロピレンは重ねてもかさばらず、軽くて熱いものを入れても食器が熱くならず扱いやすいのが特徴です。ただ表面に傷がつきやすく熱に弱いので、高温殺菌の温度で耐久性がないことと、高温になることで有害物質が溶出するということが指摘されてきました。メラミンとの違いは、ポリプロピレンが熱を加えると柔らかくなるのに対し、メラミンは硬くなることです。また、重さもポリプロピレンより重く、表面も硬いといえます。重さは、アルマイトの約2倍ほど。メラニン樹脂は、毒性の強いホルムアルデヒドを含み発がん性があるとされるため、海外ではあまり利用されていません。
ポリカーボネートは透明度が高く、耐熱温度が比較的高い素材です。ただ使用しているうちに細かいひび割れができ、もろくなることもあります。メラミンなどより有害物質が溶出しないと安全をうたっていましたが、近年問題となっている「環境ホルモン(内分泌かく乱物質)」であるビスフェノールAが溶出しやすい問題が生じています。
このように、プラスチック素材の器はメリットの一方で、その構造上から有害性も指摘されてきました。
ポリプロピレンの食器は学校給食に使われてきた……現在は?
かつて学校給食では、先割れスプーンとアルマイトの器が使用されていました。最近は、昭和懐古の流れから、この手の食器のセットが販売されていますが、アルトマイトは熱いものを入れると手で持つことができないので犬食いになってしまうこともあり、現在学校給食としてはほとんど使われていません。先割れスプーンも1976年に米飯給食が正式に導入されたことなどと平行し、箸の利用に変わってきました。その後、1枚のお皿に盛り付けるポリプロピレンのランチプレートが利用されるようになりましたが、添加剤の溶出がある恐れから、東京都練馬区や兵庫県西宮市反対運動が起こるなどの出来事もありました。メラニンのお皿も同じく、ホルムアルデヒドの溶出の問題から東京都北区や福岡県飯塚市などをはじめ大きな反対運動が起きています。
現在、保育園や学校給食で多く利用されているのが、陶磁器・強化ガラスです。ただこちらも、1999年に奈良県内の小学校で学校給食用強化ガラス食器が床に落ちて割れて、小学校3年生の児童が破片で目に大けがをした事故が発生。このことから、強化ガラスは学校給食には不向きであるという意見が出て現在は使用されなくなりました。
アレルギーの赤ちゃんや子供へおすすめの食器
子どもの周りにある食器にはメリットもデメリットもあります。では、アレルギーの子どもへおすすめの食器は何でしょうか?私がオススメしたいのは「漆」の器です。ただし注意として、漆科の食品(銀杏など)やゴム等でアレルギーが出やすい子どもは避けてください。心配な場合は、主治医の方にご相談ください。
我が家でも、子ども達の味噌汁椀と取り皿は、漆でできた子ども用のお椀を利用しているのですが、手に持っても暖かく、優しい心地がなぜかします。あわせて漆でできたスプーンを口に運ぶと柔らかな木の香りが。手にも口にも優しいのが漆の素材なんですね。 プラスチックでは汚れや傷みが激しく、陶器ではまだ上手に食べることができない子どもは落として割れてしまうこともしばしば……。その点、漆器は使っていくうちに味わい深い色をかもし出し、修理もできます。自分の子どもから孫へと移り行く漆器の色合いを楽しむのもいいですね。漆器は、環境を考えた上でも優しい食器なのです。
始めて、手にする食器にぬくもりのある「漆器」はいかがでしょうか?
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