いつ頃からだったろうか。
電車の改札でPASMOやSUICAと言ったICパスをタッチするようになったのは。
昔は定期券を改札員の方にその都度、見せるという原始的な手法だった。日本特有の通勤ラッシュでも改札員の方は全く動じず、右左、右左と目を素早く動かし定期券の区間、有効期限はもとより性別にいたるまで、しっかりとチェックしていた。考えてみると、あれはすごい動体視力だった。きっと、今の自動改札となっては、改札員の方のその能力はすっかりと衰えてしまったのではないだろうか。
さて、このパスをタッチするだけという手軽さで、私たちはスムーズに駅への行き来ができるようになった。そのICパスカードの普及に合わせ、それを入れるパスケースもじわりじわりと変化を遂げてきている。
そのもっとも大きな変化は、窓の部分だろう。これまでのように中のパスが見えるようにした窓あきタイプはぐっと少なくなっている。そもそも以前のように見せる必要がなくなったのだから当たり前だ。
しかし、「自動改札にタッチをする」ということについて、しっかりと考えたパスケースがあっただろうか。
これが意外となかったように思う。
そんな中、タッチのことまで踏み込んで考えたものがお目見えした。
ヴィンテージリバイバルプロダクションズの「Pass Wear」だ。
ヴィンテージリバイバルプロダクションズ 「Pass Wear」 各2,940円。 |
後ほど詳しくご紹介するが、ヴィンテージリバイバルプロダクションズでは、「Wear」シリーズの名で、この「Pass Wear」以外にもいくつかの魅力的なアイテムを登場させている。
「Wear」と言っても我々が身に付けるのではなく、主役は中に入れるもの。この「Pass Wear」であれば、ICパスカードを包み込むように、まるで洋服をまとったようなフィット感でカバーをしている。しかも、すべて一枚の革で作られているのが特徴。
ではまず、その「Pass Wear」からご紹介しよう。
タッチがとてもしやすい
真四角ではなく、サイドがわずかにスリムになっている。 |
パスケースというと、私たちの頭の中にある決まった大きさのイメージが思い浮かぶ。しかし、これはそうしたものよりも一回り小さい印象。具体的には、縦方向がやや短く、正方形よりの長方形といった感じ。
昔、流行ったPDAのパームを思わせるフォルムで、サイドが緩やかに凹んだカーブを描いている。これはデザイン的なものとしてだけなく、実際の握り心地もよくしてくれる。
これまでのパスケースより縦方向がやや短い印象。窓には無色透明のプラスチックカバーが付いている。 |
その中央には窓がある。この窓はこれまでのものより小さく開けられており、中身がすべて見えるというよりかは、どのタイプの IC パスが入っているかだけがわかるようになっている。
先程のカーブを描いたサイドをつかみ、その状態で自動改札をタッチすることももちろんできる。しかし、それではこれまでとあまり代わり映えがしない。この「Pass Wear」ならではのやり方がある。
それは裏面を見るとわかる。
裏面はボタンで留めるだけというシンプルさ。 |
裏返すと、なるほど確かに1枚の革でシンプルに作られているのがわかる。片側にスリットがあり、反対側をそこに通して、パチンとボタンでとめる仕組みだ。ちょうどベロを出したような感じになっている。
そのベロをつまんで自動改札をタッチするのだ。
こうすると、パスカード全面をピタリと自動改札にタッチすることができる。実際も私もJRの自動改札で試してみたが、このピッタリとしたタッチ感覚が実に気持ちいい。他の人とは違うタッチスタイルが味わえ、ちょっと優越感に浸れる。
余分に飛びだした部分をこの様につまんでタッチする。これが実にタッチしやすい。 |
たまに、タッチが弱いばっかりに自動改札の流れを止めてしまう人を見かけることが、この全面タッチ方式ならそうしたこともなさそうだ。
中のICパスカードはこの様に差し込んであるだけ。 |
がさばらないスリムスタイル
IC パスと言えば、きっと多くの方が財布に忍ばせていることと思う。私もそうしている。貴重品をすべて一つにまとめるという点ではこのやり方は正しい。しかし、頻繁に乗り換えをする時など、その出し入れはやや手間取る。この点、この「Pass Wear」はとってもスリムなので、普段はポケットに忍ばせておいて必要な時だけさっと取り出せる。「Pass Wear」を横から見てみると、1枚の革を包んでいるだけなので、とっても薄く仕上げられている。
横からみるとICパスとほぼ同じサイズになっているのがわかる。包んでいるだけだが、カードとジャストサイズなので、カードが誤って外れてしまうということはまずない。 |
窓には透明プラスチックの他、ブラックのサンプルカードが一枚入っている。ICパスカードの上にこのブラックの裏側(真っ黒)をカバー代わりにしてもよさそうだ。その方が見た目がいい。
ICパスカードが見えるようにしてもよし、予め入っているブラックボードでカバーしてもいい。 |