ステーショナリー・文房具/ステーショナリー関連情報

隣の文具活用術 アートディレクター編(4ページ目)

今回の「隣の文具活用術」では、アートディレクターの井上広一さんにご登場いただきます。デザインの現場で活用されているステーショナリーはどのようなものか。そうした点をじっくりとお聞きしてきました。

土橋 正

執筆者:土橋 正

ステーショナリーガイド


ガイド土橋:
ノートのお話が出てきたところで、ノート術についてお聞きしたいと思います。仕事では、どんなノートをお使いですか?

井上さん:
いや実は、これというこだわりはないんです。いつかノートのデザインをしたいと思っていて、いろいろなタイプのノートをかたっぱしから買って使用感を試しながら使っているというのが現状です。

井上さん愛用ノート
サイズ、デザインともに色々なノート。

仕事柄デザインの面からノートを選ぶこともありますし、ノートの綴じ方式もいろいろなものを試しています。

そんな中で今、特に使い心地が気に入っているのは、先程のミケリウスのリングノート。サイズとしては、やや小さすぎるのですが、この方眼スタイル、そしてなによりリング式であるので、私の使い方には最適なんです。カバーのデザインや質感に関しては、実はあまり好きではないのですが、、、
ミケリウス ノート
ややサイズ小さめだが、と前置きした上で今気に入っているというミケリウスの方眼ノート。それぞれのページにミシン目が入っていてキレイに切り取れるようになっているのもポイント。

リングは書くとき紙面が完全にフラットになりますので、スケッチ等を書くときにとても都合がいいんです。紙面がフラットになっていないと、思ったとおりのスケッチを描くことはできませんので。

ミケリウス ノート
デザインスケッチが描かれたページ。

無印良品 ノート
このノートは無印良品のコマ割りされたタイプ。一つ一つのコマにスケッチが描かれている。


ガイド土橋:
ノートの使い方でこだわっているところはありますか?

井上さん:
これについても特にないんです。ノートは1冊にまとめて描くということが一般的には多いと思いますが、私は全くその点はこだわっていません。その時の気分によってノートを選んでどんどん描くといった具合です。

もし使いかけのノートが見つからなければ、潔くあきらめて別のノートに描いてしまいます。ノートを探すよりひらめいた時にそれを残す方が大切だと思っています。

ですから同時進行で使ってるノートが何冊もあるという状態もザラです。

ノートだけでなくてA4の紙に描くということも結構あります。

ガイド土橋:
そんなにいろいろなところに描いてしまっては、あとで探すのが大変ではないですか?

井上さん:
そもそも私は書いたノートを見返すということがほとんどありません。

ガイド土橋:
それはまた、なぜですか?

井上さん:
見返す必然性を感じないから、というのが正直なところです。おそらく私の場合、描いてしまえばそれによりそのスケッチが頭に刻みこまれていくからだと思います。

ガイド土橋:
なるほど。アートディレクターというお仕事ならではですね。
ところで、思いついたアイデア等は、よく描きますか?

井上さん:
これはというものは描くようにしています。でも、何でもという訳ではありません。

むしろ、どちらかと言うと、そんなには描かない方だと思います。描かないことで忘れてしまうというものも当然出てきます。でも、それは忘れるくらいだから、そんなに大したものではないとあきらめることにしています。

ガイド土橋:
先程ノートにスケッチを描く時は、ハイテック Cの0.5mm を使うとのことでしたが、他のペンは使いませんか?

井上さん:
ケースバイケースですが、シャープペンで描くことも結構あります。

今、愛用しているのは、ラミーのスクリブル0.7mm 、ステッドラーREG0.3mm。
このラミー スクリブルのデザインはとても気に入ってまして、シャープペン以外にボールペンタイプも愛用しています。

この2種類のシャープペンの使い分けは、ざっくりとしたデザインを描くときはスクリブルの0.7mmで、細かなディテールを描き込むときはステッドラーという具合です。

井上広一さん愛用シャープペン
デザインを描き込む時に愛用しているシャープペン。ラミースクリブル0.7mmとステッドラーREGの0.3mm。

やはりハイテック C と違ってシャープペンであれば消して描き直せるという安心感があります。

特にロゴ制作のようなときには、相当細かな部分まで描きこんでいきますので、失敗したから始めから描き直すというのは結構大変です。ですので、そうした時は、よくシャープペンを手にします。

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