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隣の文具活用術 ポスタルコ マイクさん編(6ページ目)

今回の「隣の文具活用術」は、ポスタルコのデザイナー マイクさんです。デザイナーならではのこだわりの活用術をとくとご覧ください。

土橋 正

執筆者:土橋 正

ステーショナリーガイド


ガイド:
デザイナーというお仕事がら資料だけでなく、サンプルなど立体的なものも多くあると思いますが、そうしたものはどのように整理していますか?

マイクさん:
スタジオに専用トレーを設置して、そこに入れています。10段くらいあって、一つのトレイに一つのプロジェクトというスタイルで整理しています。

立体サンプル用トレイ棚
スタジオの一角にはサンプルなどの立体的なものを整理しておく専用のトレイがある。


実はこのトレーは、もともとパン屋さんが焼いたパンを冷ましたり、パンの生地を寝かしておく時に使うものなんです。フランス製のもので、実際にパン屋さんで使われてきたものです。

トレイ
一つのトレイには一つのプロジェクトのものが保管してある。こうして引き出して仕事をスタートする。


私はパン屋さんが焼きたてパンをトレーから取り出しているという姿がとても好きなんです。それに憧れて、これを使っています。実際にプロジェクトごとのサンプル整理に使ってみますと、実に都合がいいんです。

朝仕事に取りかかる時にそのプロジェクトのトレーを引き出して机の上に置き、作業を開始します。トレイにのっているものがパンではなく、サンプルという違いだけで、ものを作り上げるという点では全く同じですね。

ガイド:
最後にマイクさんは今後、どんなプロダクトを作られる予定ですか?

マイクさん:
封筒スタイルの便せんポスタルコの新製品「ハンカチーフエンベロープ」(420円)。カードにメッセージを書いて、包んで折りたためばそのまま封筒になってしまうというもの。今計画しているものはカメラケースです。私自身、デジカメを常に持ち歩いているのですが、いいケースがありません。私が商品を作るときはいつもこんな感じで、欲しいけど、いいものがない。ならば自分で作ってしまおう。せっかく作るなら、誰も作ったことのないものにしよう、というような流れなんです。

よくお客様には新しい商品をどんどん出して欲しいと、言われることがあります。しかし、これまで自分で作ってきたものを自分自身で使っていますと、正直なところあまり新しいものが欲しいという気持ちがわいてこないんです。そもそもポスタルコの商品は永く使えば使う程いい味が出てくるよう考えてつくっているものばかりですから。

ガイド:
本日はありがとうございました。

取材後記

マイクさん最近、魚の口の開き方に興味を覚えて、模型まで作ってしまったという。その模型を楽しそうに動かすマイクさん。独特なデザインセンスをお持ちのマイクさん。そんなマイクさんが物作りに目覚めたのは幼少時代のとある事がきっかけだったそうです。

それはマイクさんのおばさんでした。マイクさんが5~6歳の頃、お気に入りのゲームを入れる箱がボロボロになってしまい、それを見たおばさんがテープなどを器用に使って、それまで全くボロボロだったものをまるで新品のようにきれいに補修してくれたのだそうです。

マイクさんはその時の事がまるで魔法を見てるかのようで、とても強く印象に残っていて、今もそのことが自分自身のものづくりの原点となっていると語ってくれました。

今でもマイクさんは、何かと何かを使って全く新しいものができるということが不思議で仕方ないのだそうです。まるでその頃の子供の気持ちを持ったまま大人になったようなマイクさん。その純粋さがポスタルコさんの商品一つひとつに込められているのでしょう。

そして、マイクさんのノート術やファイリング術を今回拝見してみると、効率のよさというよりは、むしろ、使っていて純粋に自分自身が気持ち良いという点に重きを置いているのを強く感じました。これはデザイナーならではの観点とも言えると思います。ゼロから何かを作り出すという仕事のため、純粋に効率を上げるということよりも、自分自身を快適な状態に置き、それによりクリエイティビティを発揮させる。それが、マイクさんの文具術の根底に流れているようです。

つまり、マイクさんにとって効率を求めることは、イコール「心地良さを追求する」ということなのでしょう。そうして作り出された商品はまさに快適に使えるというものになってるんだと思います。


<関連リンク>
ポスタルコ公式サイト

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