2種類の仕組み・2種類の底付け!
CLEMATISで仕立てられた内羽根式セミブローグです。この靴そのものは底付けにミシンが用いられていない「十分仕立て」を採用していますが、勿論「九分半仕立て」での製作も可能です。これと同じ仕様で価格は\278,250、シューツリーは別売りで\17,000(いずれも税込み)。 |
日本最大の紳士靴激戦区・銀座。内外の著名なメーカーやブランドの靴がしのぎを削っているのは皆さんご存知でしょう。そんな界隈でも古き良き風情がまだ残る銀座一丁目、いや旧地名で木挽町(こびきちょう)とつい呼びたくなってしまうエリアに2008年11月にオープンしたのが、靴と鞄双方がオーダーできるこのCLEMATISです。
靴職人の高野さんと鞄職人の小松さんは、なんと小中学校の同級生。年齢こそまだ30代前半と若いながらも、この店の開店前から高野さんは金沢のKOKON、小松さんは渋谷のFugeeの両店で誂え品の制作に豊富なキャリアを積んできただけあり、作品には冴えた風格が既に宿っています。このページではまず、靴の方のオーダーの仕組みについてご説明致しましょう。ちなみに価格は使用するアッパーの素材、あるいは選択したオプション等で変動し、納期は約8ヶ月とのことです。
A:オリジナルオーダー(税込み\163,000~。シューツリーは別売りで\17,000)
予め用意されている木型・デザインをベースにした、高次元なパターンオーダーです。
- 高野氏・小松氏とまず十分に話し合い、アッパーの素材や30種類以上ある基本デザインを選択する。
- ラウンド・スクエアと2種類ある基本のトウシェイプから、顧客が希望のものを選ぶ。
- 顧客の足を採寸した上で、各サイズの木型別に用意されたサンプルシューズに足入れしてもらい、最適なサイズを選び、同時に木型の修正内容に応じ仮縫いの要・不要を判断する。仮縫いが必要の場合、本番用のアッパーで問題ない場合は\10,000、本番用とは別のアッパーで要確認の場合は\20,000(いずれも税込み)が追加で掛かります。
- 1.~3.を基に、木型に乗せ甲・幅出し等の調整をした上で、デザインパターンを裁断し、本底を付ける前まで靴を完成させる。
- 3.で「要仮縫い」となった場合、4.まで出来た「仮の底が付いた靴」で仮縫いを行い、修正すべき点をチェックする。
- 5.を基に木型を最終的に微調整し、底付けを行う。
- 製品が完成し、顧客に納品。
B:フルオーダー(税込み\278,000~。シューツリーは左の価格に含まれます)
木型・デザイン共にゼロから起こす、文字通りのフルオーダーです。
- 高野氏・小松氏とまず十分に話し合い、アッパーの素材を選択し、木型を含めたデザインを考える。
- 顧客の足を採寸する。
- 1.~2.を基に顧客オリジナルの木型を削り出す。
- 本番用のものとは別の革でデザインパターンを裁断し、「仮縫い用の靴」を完成させる。
- 4.まで出来た靴で仮縫いを行い、修正すべき点をチェックする。
- 5.を基に木型を微調整した上で、本番用のアッパーでデザインパターンを裁断し、本底を付ける前まで靴を完成させる。
- 「仮の底が付いた靴」で仮縫いを行い、修正すべき点をチェックする。
- 7.を基に木型を最終的に微調整し、正式な底付けを行い「完成版の靴」を作成する。
- 製品が完成し、顧客に納品。
上記のAとBの違いは、あくまで「靴作りのアプローチの違い」であって、足に合ったカッコいい靴を提供する目的地は全く同一地点、つまり素材や縫製等の「品質」、それに納期には差がありません。ですので、相当複雑な形状の足の持ち主や相当独自性の強いデザインのものでなければ、Aの「オリジナルオーダー」で十分対応可能とのことですよ。また上記の価格は、土踏まず部の出し縫いが手作業・他の部分のそれはミシンによる「九分半仕立て」と呼ばれるハンドソーン・ウェルテッド製法を用いた場合のもので、全体を手で出し縫いする「十分仕立て」を選択した場合は、A・B共にオプションとして\85,000(税込み)が追加で掛かります。
アッパーの紺とモカシン縫いの白の対比が美しい、CLEMATISのサイドエラスティックシューズです。この構造でUチップのスタイルは結構珍しい! これと同じ仕様で価格は\178,500、シューツリーは別売りで\17,000(いずれも税込み)。 |
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