ブーツだから、黒だから出せる真の個性!
いわゆるストレートチップ のスタイルを採用したBRASSのダービー(外羽根式)ブーツです。凛々しさ・無骨さ・そして優しさが高次元に調和した顔立ちは、細部の仕様の微妙な違いや持ち主の履き方次第で大きく様変わりできる潜在能力も秘めています。 |
リペアで見せた柔軟な姿勢とは対照的に、BRASSの靴については「形はブーツのみ、色は黒だけ」と、大変頑固そうな姿勢がまず浮かびあがって来ます。様々な形や色の靴の修理に携わって来た筈だから、いざ靴を作るとなっても、もっと選択肢が広くても不思議ではないですよね? そこでスタッフにそのことを率直に質問してみると、なるほど! と思わせてくれる理由が伺えましたよ。
ブーツと一般的なシューズ(短靴)の決定的な違いは、こちらでもお話しした通り、用途や使用環境、それに流行により長さこそ異なれど、前者はくるぶしより上も覆う点にあります。となると、製造時に後者より靴としてより立体的な造形が求められ、それゆえ完成時のみならず履き込んでいった際の表情の出方も、後者より遥かに重層的で抑揚に冴えたものになり、彼らはそこに他に代えられない魅力を感じているのです。また色についても、例えば茶系のものは革の段階から一枚一枚個性的で、それに惹かれることも当然あるのだけれど、靴になった時点では一見没個性的で面白みに欠ける黒の革が、年月を経ることで履き主の個性に馴染み、色艶が様々に変化してゆくのが何とも堪らないとのこと。
つまり「黒のブーツ」とは、持ち主の使い方やお手入れのニュアンス次第で、たとえ全く同じデザインであっても経年変化の差が最も生じる靴であり、その振れ幅で、表層的でない真の「個性」が一番滲み出てくる履きものなのではないか? と彼らは考えている訳です。 ね、とっても鋭いでしょ! リペアと「黒のブーツ」のポリシーは一見超対照的に思えますが、「履き手と一体化し長い年を経ること」を第一に考えてくれているBRASSの姿勢は、実は全く同根なのです。
一方こちらはいわゆるパンチドキャップトウ のスタイルを採用したBRASSのオックスフォード(内羽根式)ブーツです。上の写真の外羽根式のものより清楚な印象に映りますが、これがダークスーツやフォーマルウェアだけでなく、ヴィンテージデニムにも不思議と似合ってしまうのだから堪りません! |
次のページでは、BRASSのブラックブーツがどのように作られるかついて!