ブーツだけ、しかも、黒だけ!
リペアだけでなく、BRASSではパターンメードで靴を仕立てることができます。ただし種類はブーツのみで色は黒だけ。一見頑固そうに思えるその姿勢に、スタッフの靴に対する純粋な思いが込められているのです。 |
店名の基になった素材=真鍮の如く、使い込まれたものだけが出すことのできる骨太な輝きを大切にするBRASS。ここが行う「持ち主が『こう履きたい!』と望む最善の状態に、靴のコンディションを回復・向上させる」修理については、前回お話し致しました。が、彼らの靴に対する思いはそれだけに留まりません。
BRASSが持つもう一つの顔、それは”Bootmaker” 、つまり靴を作る店としての顔です。修理をしているのと全く同じスペースで、顧客の要望に合わせた靴の製造も行っているのです。ただし、リペアに柔軟ながらも一貫したポリシーが根付いていることからもご想像できる通り、彼らの靴作りについても他のブランドやメーカー、それに誂え靴のアトリエとは方向性が結構異なります。
その違いとは、ズバリ
・形はブーツのみ(一般的なシューズ=短靴は作りません)
・色は黒のみ(茶系の靴は作りません)
とかなりストイックさを感じさせるもの。「えっ、そこまで選択肢を狭めてしまっていいのかなぁ……」と一瞬思いたくもなってしまうのですが、いやいやその魅力を知るや、これはこれでもの凄く奥深い世界なのです! と言うことで今回は、世田谷代田にあるBRASSが作るブラックブーツについて、深く探ってゆきましょう!
文字通り「細面」と言う表現が相応しい一方で、実は様々な足への対応力にも優れたBRASSのブーツのトウシェイプです。トウキャップの境目の縫い目を通常より若干後方に寄せることで、スマートさが一層強調されています。 |
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