えっ、この価格で、本当にいいのですか?
日本が誇るシューファクトリー・MIYAGI KOGYOの内羽根式ストレートチップです。木型はワールド フットウェア ギャラリーと共同開発した最新のものですが、フォルムは伝統性を貫いています。 |
次にご紹介するのは、MIYAGI KOGYOの内羽根式ストレートチップです。アルファベットで書いてしまうと瞬間気が付かないのですが、そう、この靴の製造元は、独自のカスタムメードシステム「和創良靴」などでここ数年飛ぶ鳥を落とす勢いの日本のメーカー・宮城興業。自らの社名をブランドネームとし、新たに発表したグッドイヤー・ウェルテッド製法の渾身の一足なのです。アッパーにもヨーロッパ産のものに一歩も引けを取らない、日本製の良質なキップを用いています。
ワールド フットウェア ギャラリーと共同開発した木型は、1930年代の欧米、特にアメリカの紳士靴に暫し見られたシェイプを現代的に再現したもの。昨今の日本人男性の足型の変化に合わせ、つま先を内側に振るだけでなく、二の甲より上部をやや細く造形し、全体の中心線もやや内くるぶし側に寄せているのが大きな特徴で、下の写真にある通り、内くるぶし側以上に外くるぶし側が相当深く傾斜している履き口からもそれがお解りいただけるでしょう。土踏まず部もしっかり絞りこまれていて、これは製造するのに現場が相当苦労しているだろうなぁ…… でもその分フィット感は抜群ですし、何より見た目が文句ナシにカッコイイ!
で、その履き口をチェックしていて気付いたのですが、この靴はそこがやや縦長なだけでなく、トウキャップの位置やヴァンプとクウォーターの境界の縫い目がアウトソールに落ちる位置など、デザイン上の「線」が昨今の靴に比べやや前方寄りなのも、もう一つの特徴です。ロングノーズが靴の一大潮流となったここ十年は、そのように錯覚させる効果を狙いこれらの線はやや後方、つまりかかと寄りに置かれる傾向が強かったため、この靴のように「現代性を考慮しつつ伝統性を多分に融合させたバランス」には、個人的に心が落ち着きます。となると合わせるべきは、フォーマルウェアはもちろんのこと、夏物でも打ち込みがしっかり入った生地を用いて胸元のドレープを自然に出した、浮つき感の無いダークスーツがやっぱり理想。暑いけどネクタイもしっかり締めましょう!
【MIYAGI KOGYO/内羽根式ストレートチップ】
■色・素材 : ブラック(キップ)のみ
■サイズ : 5 ハーフ~9 ハーフ。ハーフサイズ刻み
■価格 : \49,350(税込み)
履き口周辺をアップで撮ってみました。外くるぶし側が深く傾斜し、抉られているのがお解りいただけるかと思います。かかとも小さ目で、足への喰い付きもいたって良好です。 |
次のページは、以前にも書いた通り、デザインの上品さでは間違いなくイタリアNo.1ファクトリーの、華麗な新作!