まずは黒のプレーントウで、「紳士靴」を知る。

Vフロント
ロイドフットウェア・Jシリーズの外羽根式Vフロントプレーントウです。長年イギリスの靴を扱い続けるこのお店らしい、凛としつつも安心感のある作品です。紳士靴のスタイルで1足しか選べない場合は、絶対に黒のこれ! :税込み53,550。色:黒・ブラウン。サイズ:5 1/2~9。


新年度が始まる4月です。就職や異動や転勤、それに転職などで生活環境が変化する方も多いタイミングですが、それを裏付けるかのようにこの時期になると毎年、小生のもとにある共通したご相談が寄せられるのです。
「長く履けるドレスシューズをそろそろ買い揃えてゆきたいのですが、最初に買っておくのに相応しいスタイルをご教授いただけませんか?」
ちょっと前までは、このような相談はメンズのファッション誌で必ず模範解答が載っていたのですが、言われてみれば最近はあまり書かれていませんね。訳のわからないスタイリングやコーディネートの羅列より、一般的なビジネスマンにとっては遥かに知りたいことなのですが。残念ながら装いの情報に対する実需と供給側との、意識の深刻な乖離が厳然と存在する……

ならば折角だし、小生なりにその答え、記事として提案してみましょうか! ということで今回は日本におけるイギリス靴好きの母なる大地「ロイドフットウェア銀座」を訪れ、
「まずは押さえたい基本の、でも永遠の3足」
を皆さんと一緒に、実用性をしっかり踏まえた上で選んでみましょう。

最初に揃えたい靴、小生の答えは
「黒の牛革スムースレザーを用いた、外羽根式プレーントウ
です。今日のメンズファッション誌を読みまくっていらっしゃる読者の方には、この答えは意外かも知れませんが、小生のお勧めは絶対にこれ! 理由は簡単で、紳士靴の中では一番使い回しが利くスタイルだからです。ビジネスで多用するダークスーツにはもちろんのこと、チノーズやデニムにも難なく合わせられますし、余計な装飾が施されていないので、最適とまでは申せませんが冠婚葬祭の際でもこの靴ならば、何とか対応可能だからです。

内羽根式に比べ甲周りのフィット感の調節代が広く得られるので、今までスニーカーやアウトドアシューズばかりを履いていた方でもフィット感に大きなギャップを覚えないで済むのも、外羽根式の靴を1足目に勧めた理由です。プレーントウは装飾がない分、傷は目立ちやすいかもしれませんが、「まあ、靴なのだから…… 出来ても当然か」とドレスシューズを大らかに捉える心の余裕を育てるためにも、単純なこのスタイルこそ最初にモッテコイでしょう。それに凹凸が少ないだけにお手入れが簡単! 傷を目立たなくさせるなど、シューケアを基礎から覚えるためにも格好の教材になってくれますよ。

外羽根式のこの靴には大きく分けて鳩目が2~3対の通称「Vフロント」と、鳩目が4~5対のものがあり、個人的には前者をお勧めするものの、個々人のお好みや足へのフィット感の良し悪しで選んでいただいて構いません。またコバ周りに立壁のような「ストームウェルト」が付かないものの方が、表情がシンプルな分汎用性は断然高くなります。実は有名な靴メーカー・ブランドでも、昨今では外羽根式のプレーントウそのものを取り扱っていないところが案外多いのですが、その点ロイドフットウェアは流石です、写真の通り見事なまでの模範解答を2つとも揃えているのでご安心あれ!


プレーントウ
ロイドフットウェア・Mシリーズの外羽根式プレーントウです。お馴染みのスタイルですが鳩目が多い分、Vフロントに比べスポーティなやや位置づけとなります。ダブルソール仕様であるにもかかわらず洗練された表情なので、これも活動の場が極めて広い靴です。:税込み35,700。色:黒・ウォールナットダークブラウン。サイズ:5 1/2~9。




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