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底力を感じるREGALの純正リペア 後篇(2ページ目)

前回で事実上パーツ状態になってしまった、要オールソール交換のREGALの靴。今回はここからどう蘇るのかをレポートします。意外と知られていないこのメーカーの純正リペアの隠れた実力、今回も堂々ご披露!

飯野 高広

執筆者:飯野 高広

靴ガイド

すくい縫いと出し縫い!

掬い縫い
すくい縫いにより、「靴の上部」とインソールに付いた「リブ」が、「ウェルト(細革)」と共に縫われた状態です。リーガルのインソール交換を含めたオールソール交換修理は、この工程から新品の靴を製造するのと同じラインを通ります。


手仕事による釣り込みの終わった修理品の靴は、いきなり底が縫われるのではありません。靴に木型の形状を再び記憶させるべく数日間そのままの状態で放置された上で、「靴の上部」とインソール下部に付いた「リブ(布テープ)」が、その外周を取り巻く「ウェルト(細革)」と共に縫われ、インソールがもう一度正式に合体します。この工程をすくい縫いと呼び、ここからリーガルの純正リペアでは新品の靴を作るのと同一の生産ラインを通ることになります。

そう、前回言い忘れましたが、純正リペアを担当するこの工場では、驚くべきことにリーガルの新品も正に同時に製造しているのです。新品・修理品どちらも高精度な靴を提供できる能力、技術面でも管理面でも並大抵のものではありません! 時計の職人さんの世界では「分解三年・製造五年・修理一生」なる言葉があるのですが、靴でも我が国を代表するメーカーがこれを実践してくれているとは!

すくい縫いの後、コルクやシャンク(靴の背骨のようなもの)がインソールとアウトソールの間に埋め込まれた上で、遂にウェルトとアウトソールが縫い合わさる出し縫いが行われます。「靴の上部」と「アウトソール」が、ウェルトを介在して「すくい縫い」と「出し縫い」とで別々に縫われるから、グッドイヤー・ウェルテッド製法の靴ではアウトソールを複数回交換できるのです。実はリーガルの靴では、この「出し縫い」の方法も様々あるのですが(その詳細は別の機会のお楽しみ!)、修理品では原則各靴のオリジナルに忠実な仕様で再現されます。

出し縫い
出し縫いにより、ウェルトとアウトソールが漸く縫い合わさりました。このアウトソール自体も出し縫いの方法も、この靴が新品の時と原則同じ仕様で修理されます。




次のページでは、修理完成前にちょっと一息!
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