つま先やかかと回りが……失敗を避ける革靴の選び方とは
どんなに見栄を張って「高い靴」を買ったとしても、自分の足に合っていないと、それは決して「いい靴」にはなってくれません。ブランドネームや価格ではなく、自分の足と用途に合った靴が選べるようになった人こそが、本当の靴好き! |
デザイン重視で一目惚れして買ったはいいけれど、「靴の中で指が折れ曲がったまま」とか「かかと周りがブカブカで靴が『抜けて』しまう」など、フィッティングに難があって履くのを敬遠している靴、皆さんお持ちではありませんか?
ただ、ちょっとした心掛けがあれば、こうした失敗は未然に、そしてほぼ確実に防げるものです。今回はまず「靴屋さんに行く前に準備したいこと」を幾つかお話しましょう。実際には全部が全部用意周到に行くことではありませんが、知識があるだけでもある程度は機転をきかせられることばかりです。是非ともご参考になされてみて下さい。
失敗しない靴の選び方1:「いつもツラくなる個所」を認識しよう!
ものすごく恥ずかしいですが、右の小指に靴ズレ跡が残る小生の素足です(涙)。左足の方が明らかに長いですよね。既製靴を履くと小生は「左の薬指」に不快感を覚えることが多いのですが、その原因の一つがこれです。 |
そんなことよりまず絶対に把握して欲しいこと、それはもっともっと単純なことで、
自分が今「一応大丈夫」と思って履いている、あるいは履いてきた数々の靴で、『フィットせずにツラい』と感じる傾向が高い個所
です。例えば、
「どんな『大丈夫』な靴でも、左の小指の先端だけ、前方向からちょっと圧迫が掛かってしまう」とか、
「どの靴も甲周りが左右方向にプカプカ余裕があり過ぎて『靴の中で足が泳ぐ』気がして…… 特に右足の方がより深刻」
みたいな感触です。
「丁度いい」とか「大丈夫」と思う感触は正直人それぞれですが、だからこそ「ツラい個所」を具体的に店員さんに伝えることができると、我慢できないほど不快な靴を買わされる確率は、格段に減らせます。もし可能ならば、今お履きの靴の中で「一番丁度いい」と自分が感じる靴をお店に履くか持参するかして、
「歩き出すとこの部分が前後方向に痛くなる」とか
「この部分が左右方向に余裕があり過ぎる気がする」
を店員さんに診て(そう、ここまでくると「見て」ではなくて「診て」でしょう)もらうことをお勧めします。丁寧なお店でしたら、その靴をチェックし足の採寸等を行い、
「左右で足長が大分異なるのですね。この靴だと長い左足のつま先の一部が圧迫されてしまいますよね?」とか
「幅が一見ありそうですが、それは足の左右方向にある靭帯が緩んで足がもみじの葉のように開いているためで、あなたの足の幅は、本当は狭いです」
など、ツラくなる原因を把握した上で、不快感が極力少なくなるような靴を選んでくれますから。
失敗しない靴の選び方2:夕方とは限らない、足の「むくみ」!
誰だって一日の中で足がむくんで大きくなる時間帯があります。できればその時間帯で靴を買いたいのですが、そうでない時との「差」を認識できるだけでも、靴のサイズ選びの確度が増します。 |
まあ、その根本的原因は色々あるのですが(深刻な病気のシグナルの場合もありますから、四六時中むくみっぱなしの場合は必ず病院で診察してもらいましょう)、極めて大雑把に申せば、代謝不良により体の末端に水分や老廃物が溜まり血行が悪くなるのがこの「むくみ」の正体です。程度の差こそあるものの、どんな人でも一日の中で足がむくみ易い=足が一番大きくなる時間帯があって、それを予め知っていれば、この時間帯に靴を買うのが当然ながらベストなわけです。また、それが物理的に不可能な場合でも、最大どの位むくむかを認識した上で靴を選べば、「靴の中で足がパンパンに張って歩けない!」トラブルは、かなりの確率で防げます。
人間は直立歩行して活動する一方体全体を水平にして眠る生き物ですので、「体の一番下」にある足部のむくみは、一般的には重力の関係で足に水分や老廃物が貯まりやすい夕方に起こりがちと言われています。それゆえ昔から「靴は夕方に買え」と言われるのですが、困ったことに、これは必ずしもすべての人に当てはまる事柄ではありません。何を隠そう小生がそうなのですが、例えば朝足が冷たくなって目が覚める冷え性の方は、足が一番むくんでしまうのはズバリその「朝」のはず。だから上の言い伝えはあくまで「言い伝え」として捉え、「自分自身の場合」を改めてチェックした上で靴屋さんに行きましょう。
失敗しない靴の選び方3:靴下の性格も、案外影響します!
靴下って材質だけでなく、厚みも様々です。ちゃんとした靴メーカーですと「履くべき靴下」を想定したサイズ設定をしています。 |
たかが一枚の布と思う事なかれ! 例えば薄手の靴下では「全く問題ない」フィットだった靴が、厚手の靴下を履いた途端「タイトフィットと言うにはキツ過ぎる……」とマイナス評価に転じてしまうことも結構あるもので、もちろんその逆も然り。保温・吸湿だけでなく、「足を守る」ことも靴下の重要な機能ですから、それを理解できている靴メーカーは、靴の用途ごとに「履かれるはずの靴下」を予め想定した木型・サイズの設定を行っています。トリッカーズやアルフレッド・サージェントのようなイギリスのメーカーが、この辺りの匙加減では一日の長の感があるのですが、街履き用のドレスシューズだけでなく野山で履くカントリー系の靴も長年作り続けているからなのでしょう。
ということは、家を出る前の時点で買いたい靴の大まかなイメージが既に掴めているようだったら、それに合わせたい・合わせるべき靴下も持参若しくは履いた上で靴屋さんに行ければ、極めて理想的なわけです。靴下一組なんて大した荷物じゃありませんし、忘れてしまった場合でも、良心的な靴屋さんでしたら試着用の靴下を用意してくれていますから、まあ、そんなに神経質になる必要もないですが、備えあれば憂いなしですよ。なお、慣れてくるとこれを逆手にとって、靴下で微妙なフィット感を調整したり、ツラい個所をリカバーしてしまう作戦も可能になるわけで、これが裏ワザとしてはなかなか有効です。
【関連記事】