手が込んでいる、だけではありません!
銀座ヨシノヤの「九分仕立て紳士靴」のアウトソールを縫う前の底面です。インソールとアッパーそれにライニングは、このように外周に「細革」を介在させて、機械ではなく手で縫い上げられます。 |
銀座ヨシノヤの紳士靴は、全工程のうち約九割を手縫いで仕上げた「九分仕立て」と呼ばれる製法を、以前から頑なに守り通してくれている、日本でも極めて貴重な存在です。今でこそ靴好きの間には知れ渡っているこの日本語、通常のグッドイヤー・ウェルテッド製法とは具体的に何が異なるのでしょうか? まずちょっと復習してみましょう。
堅牢性を重視した靴に多く採用されるウェルテッド製法は、
- アッパー・ライニング・インソール・細革(ウェルト)を接合する「掬い縫い」
- 細革・アウトソールを接合する「出し縫い」
しかし銀座ヨシノヤの紳士靴に用いられる「九分仕立て」では、2.こそミシンで行うものの、1.つまり「掬い縫い」は手で縫われるのが、通常のグッドイヤー・ウェルテッド製法との決定的な違いです。またこの製法ではリブは取り付けない代わりに、「掬い縫い」では上の写真でもお解りの通り、インソール下部の周囲を凸状に掘り起こした部分を直接縫う点も、それとは異なります。ちなみに英語で言うところの「ハンドソーン・ウェルテッド製法」とは、この「九分仕立て」ならびに上記2.の「出し縫い」も手で行う靴に限って用いられる言葉です。
グッドイヤー・ウェルテッド製法との違いは、なにも作る際のプロセスだけではありません。ズバリ「九分仕立て」にすると、堅牢さを損なうこと無く、履き心地が格段に向上するのです! 手で「掬い縫い」を行うことで縫いの微妙な匙加減が可能になり、靴の造形がより木型や足に忠実で、立体的なものになるからです。またリブが不要な分、厚くて柔軟なインソールが使えるため、通常のグッドイヤー・ウェルテッド製法よりも軽く、足への密着感に優れた靴に仕上がる点も見逃せません。
銀座ヨシノヤのダブルモンクストラップ、モデル0545です。言われなければ3Eとは気付かない端正なルックスは、木型のプロポーションの良さだけでなく、緻密なデザインパターンが描けるからこそ生み出されるものです。色:黒・バーガンディ(いずれもキップ・スムースレザー)。サイズ:24.0~26.5 EEE。価格:\102,900(税込み) 銀座ヨシノヤ |
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