男の靴・スニーカー/ドレスシューズ

新しさの中に質実さが宿る、グレンソンの靴

イギリスのシュープロデューサー、ティム・リトル氏が経営に加わったお蔭か、近年顔立ちがいっそう凛々しくなったGRENSON。しかしこのメーカーらしい骨太さ・質実さもしっかり残っているのが嬉しいところです。

飯野 高広

執筆者:飯野 高広

靴ガイド

敢えて都会的に履きたい、こげ茶スエード

Accrington
グレンソンの内羽根式キャップトウ・アクリントンです。メリハリの利いた現代的な表情の中に、質実剛健なグレンソンらしさをしっかり残してくれたのがなんとも魅力的です。


朝夕はなんとなく涼しくなってきて、小生の家の近くでは虫の音も聞こえてくるようになってきました。ちょっと腰を据えて靴選びをしたくなりだす季節ですが、そんな時に絶対忘れて欲しくないイギリスのメーカー・グレンソンの作品を、今回は最新モデル・大定番取り混ぜてご紹介致しましょう。

まずはこのメーカーの「今」を象徴するに相応しいモデルの、内羽根式キャップトウ「アクリントン」から。モデルそのものは今春にデビューしたものですが、写真でご覧のような極めて濃いこげ茶スエード版を、この秋追加しました。「バーントオーク」という色名だそうで、良い意味でスエードのイギリス靴っぽくない都会的なイメージを醸し出しています。

この靴に用いられている「103」と名付けられた木型は、低重心でメリハリある造形が特徴で、まるで誂え靴のよう。ブルージーな雰囲気で好評な自らのブランドを持つ一方、2005年からグレンソンの経営にも参加するようになったイギリスのシュープロデューサー、ティム・リトル氏が監修したものです。土踏まず部もきれいに絞り込まれていますし、下の写真でお解かりの通り、甲も大変立体的に仕上げられ履き心地の良さを保証するかのようです。ノーズが気持ち長い現代的なソフトスクエアトウの顔立ちではありますが、このメーカーのアイデンティティーたる質実剛健さは全く失われていないところも、好感度大なわけです。

上にも書きましたが、スエードの靴特に茶系のそれに付きまといがちな、一種の野暮ったさとはこの靴は無縁です。なので合わせる服も、「ツイードのジャケット」+「コーデュロイのトラウザー」のようなカントリー直球勝負ではなく、敢えて「濃紺のジャケット(メタルボタンでない方が良いかも?)」+「グレイ無地のトラウザーズ」のような、ちょっと洗練されたものとの方が、靴・服双方の良さがより引き立つでしょう。もしドレスコードの緩い職場環境にお勤めでしたら、本来はマナーにチョッと引っかかってしまうけど(なんてことをもう誰も言わなくなっちゃったんですよね)、思い切ってこの秋の主流・グレイ系のスーツと合わせてみても宜しいかもしれません。

【グレンソン/内羽根式キャップトウ・アクリントン(Accrington)】
■色・素材 : バーントオーク(かなり濃いこげ茶)スエード。
カーフ(スムースレザー)素材では黒、バーントパイン(こげ茶)もあり。
■サイズ : 5 ハーフ~9 Eウィズ
■価格 : \65,100(税込み)

前から
「アクリントン」を前から見た写真です。低重心な造形が良くお解かりいただけるかと思います。足の形状に忠実な「ひねり」も、シューレースの傾き加減で一目瞭然。




次のページでは、日本におけるグレンソンの、不滅の大定番をご紹介!
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