男の靴・スニーカー/ドレスシューズ

新しさの中に質実さが宿る、グレンソンの靴(2ページ目)

イギリスのシュープロデューサー、ティム・リトル氏が経営に加わったお蔭か、近年顔立ちがいっそう凛々しくなったGRENSON。しかしこのメーカーらしい骨太さ・質実さもしっかり残っているのが嬉しいところです。

飯野 高広

執筆者:飯野 高広

靴ガイド

こういう靴は何足でも欲しい!

London
グレンソンの内羽根式キャップトウ・ロンドンです。このメーカーの日本における大定番。虚飾のない落ち着いたスタイルは、永年の友とするのに最適です。


次にご紹介するのは、大定番の内羽根式キャップトウ「ロンドン」です。基本的には同一スタイルながら、前ページの「アクリントン」がグレンソンの最前線を代表する顔立ちとするならば、こちらはそれをしっかり支える、まさにこのメーカーの屋台骨・歴史そのもののような存在。本来のイギリス靴らしい、靴そのものではなく履く人が引き立つ「間違いの無い」スタイルです。

ではこのメーカーの歴史をちょっと整理してみましょう。ウィリアム・グリーンがイギリスの靴のメッカ・ノーザンプトンに近いラシュデンの実家に工房を備えたのが1866年。19世紀末に工場をその近郊に移し、経営に彼の息子を迎え入れたことで社名を”Green & Son”を意味するGRENSONとした後、平時にはドレスシューズ、戦時にはミリタリーブーツのメーカーとして名をはせ、イギリスの既製靴界に確固たる地位を築いてきました。

日本でグレンソンの靴が手に入るようになったのは、事実上1980年代に入ってから。当初はSHIPSなどのセレクトショップに置かれ、スマートながら朴訥にも見える燻し銀的な存在だったと記憶しています。また他のイギリスのメーカーがナカナカ手を出さない、ブーツやリザード(トカゲ革)の靴に強いブランドとして、言わば通受けする存在でした。そんなグレンソンの靴の顔立ちがガラッと変わり、質実な中にも洗練さが一気に加わるようになったのがちょうど今から10年前、1997年辺りからでしょうか。表情のみならず全体的な品質が著しく向上し、それを歓迎するかのように1999年から日本の窓口が名門・大塚製靴に変わると、知名度も一気にアップして今日に至っています。

この「ロンドン」はその1999年に登場したモデルで、実は日本でしか買えないのですが、ノーズが長すぎも短すぎもしないイギリス靴のお手本的なセミスクエアトウは絶品で、流行がどうであれ何時でも安心して履ける作品です。履き心地も万人受けするクセの無いものですし、作りはもちろんアッパー・ソールの革選びにも妥協がありません。ヒールトップを敢えてラバー仕様にしたのも、日本の道路環境を考え滑りにくくした実用性重視の証。「まず一足、普通の、でも真面目な良いイギリス靴が欲しい!」と今日問われたら、筆頭に候補に挙げたい一靴です。

【グレンソン/内羽根式キャップトウ・ロンドン(London)】
■色・素材 : バーガンディ。他に黒、コニャックもあり(全てカーフ・スムースレザー)
■サイズ : 5 ハーフ~9 Fウィズ(黒のみEウィズもあり)
■価格 : \65,100(税込み)

ソール&ヒール
「ロンドン」の底部です。ソールはオーク(楢)材から採れた天然タンニンに丸一年かけてなめされたもの。しなやかであるだけでなく、撥水性も高いのが特徴です。ヒールトップは日本の道路事情を考え、オールラバーです。




次のページは、グレンソン伝統の得意技、ブーツの最新版です!
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