バックルの形と色が命!
モンクストラップに欠かせないバックル。色々な種類があります。靴の目鼻立ちを決定付ける、大切なディテールです。 |
前のページでも申し上げたとおり、モンクストラップの個性は、どのようなバックルがどこに付けられているかで決まってしまう、と言っても過言でもありません。この靴はとにかく何時でも履きたがる人と、嫌いどころか感心すら持たない人とにスパッと二分される傾向が昔から強いのですが、前者の方々はこの「多様性」を最大の愉しみどころと捉えていらっしゃる方が多いようです。
例えば大き目のバックルが付くと、たくましい容姿の靴に見えてきますし、逆に小さめのものが付けば、清楚なイメージに一気に変化してしまいます。或いは丸みの強いものとしっかり角が立っているもの、正方形的か縦長かはてまた横長かなど、バックルの形状のみで見た目だけでなく靴の意味合いが相当変わってしまう、ある意味大変手強いディテールです。
形状に限らずバックルの「色」にも注目です。伝統的な金色とここ十年来は明らかに主流であった銀色とでは、全く同じものを全く同じ靴に付けても、その表情が丸っきり異なってまいります。いや同じ金や銀でも、ピカッと光沢のあるものと燻した表情のものとでは対照的なニュアンスに映りますし、その素材感を敢えて隠し、靴のアッパーと同じ革をバックルに巻きつけたものなども大変魅力的です(ダメージが出るのは早いですが)。どうもこの辺りは、ジャケットのボタン選びとかと似た感覚が求められる気がします。
もちろん、プレーントウだけではありません!
紐靴と同様、モンクストラップにももちろん多様なデザインがあります。こちらはジェイエムウエストンの定番・シングルモンクフルブローグの「533」です(私物)。 |
今回と次回、靴のスタイルとして大きな写真でご紹介するのは、原則プレーントウのものですが、紐靴と同様に他のスタイルのものも当然ございます。キャップトウやセミブローグ、フルブローグそれにUチップだってありますよ!
ただいずれも、紐靴の同一スタイルのものに比べカジュアルな印象が強くなることは是非とも覚えておいてください。例えば、黒のキャップトウだからと言っても、モンクストラップの場合は礼装用に用いるのは望ましくないわけです。これはやはり、バックルの存在感ゆえでしょうか?
またあくまで私見ですが、モンクストラップはそのバリエーションにより、相性の良いスタイルが随分異なる感があります。例えば今回ご紹介したシングルモンクの場合、プレーントウ以外だと上の写真のようなフルブローグが何故か主流です。前述の如くイヤが上でも目立ってしまうバックルですから、視線をそこに一点集中させるか? 靴全体に何気なく調和させるか? の二者択一にどうしてもなってしまうのでしょう。
これが他のモンクストラップだと傾向がどう変化するか? またそれはどうしてなのか? この辺りの解説は次回のお楽しみ、皆さんもゆっくり考えておいてください!
【取材協力】
■ジオグラフィーリビング(GEOGRAPHY LIVING)
今回のモンクストラップに限らず、パターンメイドで様々なスタイルの靴がリーズナブルな価格で製作可能なお店です。他店ではまず見ることが出来ないユニークな革や、タンナー廃業による現品限りの貴重な革なども選択可能。細かい仕様もあれこれ楽しく決められますよ! なお、倉野路凡さんがガイドを務める「メンズファッション」のこの記事も、是非ともご参照下さい。
所在地:東京都渋谷区神宮前6-34-14
TEL/FAX:03-3409-5960
HP: 靴のお店 | GEOGRAPHY Living
営業時間:月…12:00~20:00
火・木・金・土…11:00~20:00
日…11:00~19:00
定休日:水曜
地図:Yahoo!地図情報
飯野註:残念ながら2009年10月末を以て、ジオグラフィーは活動を休止し、直営店舗であるジオグラフィーリビングも閉店しております。
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ガイドサイトINDEX モンクストラップやダブルモンク