革靴にの内側や靴底にカビが生えてしまった!
「うわー、カビが生えてるよ……」こんな気が滅入るトラブル、誰しもが一度は経験したことがあるのではないでしょうか?今回は特にこの時期頻発する「カビ」の正しい除去法のみならず、靴に二度と生やさないようにするための予防策も合わせて考えてみたいと思います。
因みに上の写真ですが、雨の日に履いた靴を適切に乾かさず、いきなり下駄箱に放り込んでしまったがゆえに、アウトソールに見事なまでに緑白色のカビを生やしてしまったもの。湿ったままで通気性の悪いところに収納したのですから、そりゃー当然、こうなりますよ……。
革靴のカビを初めに水で取り除くのは、絶対ダメ!
不本意にも生やしてしまった、見るのも触るのもイヤなカビ。なんとか早く取り除きたい……手っ取り早く水で洗い流したり、水で濡れた雑巾で拭き取ってしまおう!誰しもがまずそう思うでしょう。気持ちはよく解ります。でも実はこれ、最初には絶対にやってはいけないことなのです。靴などの革製品に限らず、日常生活の中ではカビは、以下の4つの条件がしっかり揃うと、それこそ待ってましたとばかりに元気に生えてきます。
- 酸素:まあ、カビも生き物ですから、絶対必要ですよ、コレは
- 温度:20℃から30℃の間くらいが、カビが生える一番の好条件です
- 湿度:空気中の相対湿度が80%以上で、一気に確率が高まります
- 栄養:靴に付いた泥汚れやホコリが、カビには格好の栄養です
勘の良い方はコレでもうお分かりでしょう!カビを除去する際、最初に水で洗い流そうとすると、上の条件の「湿度」をさらに補給してしまうことになります。その場は一見カビが取り除かれたようになりますが、翌日あたりにカビが前よりかえって増殖してしまう結果につながるのです。つまり、全くの逆効果なわけです。
裏を返すと、カビ自体と同時に、この4つの条件のどれかを的確に取り除くことが、あるべきカビ退治の第一歩と申せましょう。普段の生活環境の中で比較的簡単に除去できるのは、「湿度」と「栄養=汚れ」の2つ。
カビの落とし方は順序を間違えず、慌てずに!
では実際に、靴からカビを除去する手順を追ってみましょう。多少時間は掛かりますが、これをきちんと行えば靴自体の要因によるカビの再発は、ほぼ防ぐことが出来ます。焦らず対処してください。1.コットンパフに皮革用カビ取りスプレーを染み込ませ、カビがこれ以上広がらないよう、外側から内側に向かうようカビを拭き取ります。この種の薬剤の主成分であり揮発・消毒性を有するエタノールで、カビ自体のみならず、その発生要因である「湿気」と「汚れ」も合わせて取り除くのです。
2.1から暫くしたら、先程とは別のコットンパフに改めて皮革用カビ取りスプレーを染み込ませ、靴全体を拭いて「延焼」を防いでください。そうそう、1と2の作業は衛生上、面倒でも屋外の風通しの良い場所で行ってくださいね。
3.風通しの良い屋外で、少なくとも2・3日、念を入れたい方なら丸一週間くらい、日干しをします。お日様の紫外線の力でさらに殺菌を完璧に行うわけです。
4.乾燥させたら、ここでようやく水の登場です。アッパーがスムースレザー系ならサドルソープを、起毛系ならスエードシャンプーを用いて、死滅したカビを洗い落とします。
5.風通しの良い屋外で、靴の内外共に十分乾くまで再び天日干しをします。紫外線で再び殺菌することで、カビに対してのダメ押しを行うのです。
6.あとはスムースレザー系、起毛系それぞれに応じたケアを行い、戦列に復帰させてあげてください。短くて約一週間、長くて半月強の療養生活になりますが、いい加減に短時間で処置するより、再発は確実に防げます!
>>スムースレザー系の靴のケア
>>起毛系の靴のケア
カビの防止策は、もっと大事!
カビは「酸素」「温度」「湿度」「栄養」の4つの好条件が重なった時に発生します。前の二者を変化させるのは如何ともし難いですが、後の二者は日頃のちょっとした注意で十分コントロールが可能で、それによりカビの除去だけでなく発生も未然に防げます。そのためのヒントを幾つか挙げて、今回の結びと致しましょうか。- 同じ靴を2日以上連続して履き続けない。
- 靴に付いた汚れやホコリはなるべく早く取り除く。
- 靴をしまう時は内側の湿気を十分飛ばしてからにする。
- 雨や雪の日に履いた靴は水分を十分取り除いた後でしまう。
- 長期間履かないことが解っている靴は、しまう前に汚れを十分落す。
- 下駄箱を湿気の多い場所には置かない。
- 一日に10分は下駄箱の扉を開け通気性を確保する。
- 下駄箱の中をスノコ状にして、靴の底面も通気性を確保する。
なお、除去に用いる皮革用カビ取りスプレーは、DIYセンターや東急ハンズなどで購入できます。お近くでご購入できない際は、主原料がエタノールのいわゆる「消臭除菌スプレー」や、薬局で売っているそのものズバリ「消毒用エタノール」などでも一応代用は可能です。ただし、いずれの場合もエタノールの特性上、若干色落ちする危険があることを、予めご承知置きいただければと思います。微妙な色合いの靴の場合は、特にご注意ください。
また、カビの中には白系や緑白色系の比較的除去しやすいものがある一方、黒系や赤系のもののように、一度生えてしまうと死滅させても跡がシミ状に残ってしまうものもあります。すなわち、薄手の微妙な色合いの靴に黒系のカビが一旦生えてしまうと、除去したとしても、靴の色調が変化するは跡は残るはで、全く良いことがないわけです。カビでお気に入りの靴を台無しにしないよう、日頃のちょっとした注意で、その発生を未然に防いでいってください。
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