少々口幅ったいけれども、新生“伊勢丹”の真価を問うならば、靴文化の向上を考えている点にある。
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例えば品揃え。前述のブランドには既製靴ながら20万円近いモノもあるが、ハイエンドをウリにしているわけではない。むしろ良靴をコンセプトに、幅広いセレクトをしているのが特徴だ。日々ガンガン歩き回るために、あるいは“本格靴”初心者のために、ベターゾーンの充実はむしろ今、とても大切なことなのだ。4万円を切る価格で提案するアルフレッド・サージェントや新規投入のジョン・ホワイトなど好例だろう。
懐かしい英ノーザンプトンのブランド、ジョン・ホワイト。ポルトガルに生産拠点を移し、復活。
価格/2万9000円(2点とも)
みずからの立ち位置を端的に表したのが、こちらも初となるリペア・コーナーだ。その場で対応するクイックなモノから高度な要望まで、さまざまな修理に応えるために3社もの修理業者と提携。良靴を広めるのに一役も二役も買ってきた伊勢丹は、単なるブームけん引ではない、次の段階に入ったのである。
伊勢丹としては久方ぶりに扱いを復活したタニノ・クリスチー。木型を一新、エレガントな仕上がりに。
価格/左13万5000円、右9万9000円
最後に、デザイナーの高津卓也氏を起用し、“ネオ・アールデコスタイル”をコンセプトにすっかり洗練された“箱”について。正直、リニューアル前の、思わず“野暮ったい”といいたくなる売場が個人的には心地よく、そんな雰囲気が損なわれたりしたら何だか惜しい気もして、バイヤーの山下さんにそこンところを聞いてみた。「一流品を扱う以上、それに相応しい店構えは欠かせません。アットホームな雰囲気をつくるのは、あくまで販売員なんです」。至極正論。大いに期待したいところです。
●問い合わせ/伊勢丹新宿店tel.03.3352.1111
ラストはレディスの新作です。