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英国誂靴を凌ぐ、美しすぎる靴 後編

前編では靴が中心でしたが、後編ではシューメーカーの福田洋平さんの靴作りの考え方を紹介します。また、彼が毎日作業している工房や工具の写真もあるので、見るだけでも楽しめます!

倉野 路凡

執筆者:倉野 路凡

メンズファッションガイド

整然と並ぶ工具類


Yohei Fukuda
この写真ではわかりにくいが作業用のテーブルは1920年代のアンティークだ。テーブルのカーブに合わせて配された工具は、おそらくよく使うものなのだろう。

シューメーカーの福田洋平さんの工房へ行ってまず驚いたのは、靴作りに必要な工具類が整然と並べられ、清潔感があることだ。

使っている作業台はなんと1920年代のアンティークのテーブルで、すべて福田さんの趣味を反映した工房なのだ。

「靴作りには技術的なことや経験はもちろん大切なのですが、気持ちの入れ方で違ってくるので、モチベーションを保つためにも環境には気を使っているんですよ。

それに、靴を完成させる気持ちで靴を作ると限界を感じてしまうので、自分の作品を作る気持ちで靴作りに取り組んでいます。

工具はイギリスで使っていたものです。なかには古い工具もありますよ。あと、必要なら自分で工具を作ることもあります。イギリスの靴職人はそうしています」と福田さん。

Yohei Fukuda
綺麗に並べられた工具類。年代の古いものもあるそうだ。工具にこだわるシューメーカーは信頼できる。

見せてもらったものではスプーンの柄の部分を利用した工具や、アルコールランプで温める際に使うコテなどを上に載せる専用台など、「なるほど」と感心してしまうアイデアものばかり。当たり前だがとても手先が器用な人なのだ。

また、工具だけでなくワックス(コバの防水性と艶出しに使用)などの材料のほとんどがイギリス製とのこと。たしかにこの室内だけ見れば日本でない気がする。

Yohei Fukuda
これも古い年代物の万力。当たり前だけど一般家庭に万力ってないですよね。いったい何に使うのでしょうか。

靴を作るのにこんな工具だけでできるの? と思う人もいるだろう。たしかにグッドイヤーウェルテッド製法の既製靴の場合は、大型の機械がたくさん必要になってくるが、ハンドソーンウェルテッド製法の靴の場合は手作業がほとんどなので大型の機械は必要ないのだ。

だから工場のような広さは必要なくて、工房規模で十分というわけだ。ちなみに福田さんの工房にはミシンともうひとつ何かの機械、そしてクラシックな万力がある。←この万力はかなりの年代物!

次のページは、「古い靴作りの洋書で研究も・・・。」です
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