男の靴・スニーカー/困ったときのリペアショップ

すべてにこだわる、靴修理の職人

浅草にある工房の一室で、黙々と仕事をこなす靴リペア職人、石郷岡 博さん。作業が丁寧で、しかも材料にこだわるマニアでもある。磨り減った靴があれば一足試しに出してほしい。きっと納得するはずだ。

倉野 路凡

執筆者:倉野 路凡

メンズファッションガイド

The Asakusa Cobbler
オールソールの交換はもちろんのこと、ウエルトの交換も行ってくれる。

先日、数足まとめて靴修理に出した。お願いしたのは以前にも紹介したことがあるThe Asakusa Cobbler(ジ・浅草コブラー)である。

東京・浅草の小さな工房で、靴修理職人の石郷岡 博さんは一人でコツコツと修理を行っている。

店舗を構えていないが、土曜と日曜のみ直接工房へ靴を持参できるので、予約を入れて行ってきました。

※靴を持ち込んでも、その場で修理してくれません。お預かり後の修理です。直接話せるので修理箇所を具体的に伝えやすいというメリットはあります。

持参した靴は
●トリッカーズのフルブローグ(カントリーのレザーソール)
●旧チャーチのフルブローグ(モデル名:ヒックスティッド)
●昔セールで買ったエーボンハウス(英国製)のホールカット
である。

つま先修理+メタル打ち


The Asakusa Cobbler
旧チャーチのフルブローグも、このように直りました。つま先メタルD 1,575円+革あて補強 手縫い 2,100円=合計3,675円。問The Asakusa Cobbler TEL.080-6610-4295 営業時間 10:00~19:00

旧チャーチとエーボンハウスは、つま先が減っていたので修理してもらい、磨り減り防止のメタルを取り付けてもらうことになった。

修理の方法を簡単に説明すると、つま先の減ったところを均等に削り、修理する箇所の古い出し縫い糸を抜き取る。

そして新たにウエルトと平らに削って整えたアウトソールの先端を、手で出し縫いするのである。

なぜ手縫いにこだわるのかというと、以前ウエルトとアウトソールが縫われた際にできた、穴に再び針を通して縫い上げるためである。

もちろん機械で縫えるのだが、機械だと以前と同じ穴に糸を通すことは難しいという。

つまり手で一針一針以前と同じ針穴に合わせて縫うことで、ウエルトやアウトソールの負担を軽減しているのである。

さらに細かく説明すると、既存の出し縫い糸と新しい出し縫い糸を何穴か重ねて縫うことで、ほつれないようにしているそうだ。

The Asakusa Cobbler
メタルも大小さまざまなサイズを取り揃えている。

その後、つま先の修理面に特殊な接着剤を塗って、革(または樹脂製パーツ)を貼り付けて仕上げていく。

かなり良質の接着剤のためはがれにくいそうだ。通常のつま先修理はここまでなのだが、さらに磨り減り防止のメタルを打ってもらった。

メタルは数種類大きさの違うものがあり、選択はお任せした。メタルの取り付けもこだわっていて、メタルの裏面と、アウトソールの取り付け部にヤスリをかけ、特殊な仮留め用の接着剤を塗ってからメタルを釘で打つのである。

※つま先修理用の革・・・繊維に密度があり、適度に柔軟性をもつ厳選した革を使用。

★今回の旧チャーチおよびエーボンハウスの修理代 各3,675円
つま先メタルD 1,575円+革あて補強 手縫い 2,100円=合計3,675円

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