個人の所得には所得税と住民税がかかる
配偶者控除の廃止による増税額を計算する前に、所得税と住民税の違いを復習しておきましょう。個人の所得に対してかかる税金は、所得税と住民税の2種類です。所得税は国税で税務署が、住民税は地方税で自治体が徴収しています。また、地方税は道府県民税と市町村民税にわけられ、それぞれの地方自治活動の財源となっています。
住民税の税率は一律10%
平成19年に、国から地方への税源移譲が行われました。多くの人は所得税(国税)が減り、住民税(地方税)が増えました。全体の税額は変わらないのですが、税金の行く先が、国から地方へとシフトしたわけですね。所得税は所得によって税率が変わりますが、住民税の税率は一律10%となりました。
所得税はその年の所得、住民税は前年の所得に対してかかる
年末調整や確定申告は所得税の計算をするためのもの。正確に申告をしたい
この所得税(厳密には所得金額)が決まってから、住民税が決まります。
住民税は前年の所得に対して課税されるものです。所得税の情報が地方に行き渡り、そのデータを基に住民税を決めるためです。
配偶者控除がなくなると、約5万~20万円の増税に
配偶者控除がなくなったら、どれくらいの増税になるのでしょうか? 配偶者控除額は所得税38万円、住民税33万円です。実際の増税額は、これらの控除額に税率をかけたものになります。所得税の税率は所得に応じて変わります。税率は5%から45%(平成27年以降。平成26年までは5%から40%)。住民税は一律、税率10%です。配偶者控除がなくなると、増税される所得税は所得によって変わりますが、1万9000円(38万円×5%)から17万1000円(38万円×45%)となります。
住民税は一律10%ですから、3万3000円(33万円×10%)の増税となります。配偶者控除が廃止されると、所得税と住民税あわせて5万2000円から20万4000円の増税となるわけですね。
いかがですか? 配偶者控除がなくなるとかなりの増税額になると思いませんか? 税金の制度をよく知った上で、今後の動きを注意深く見守っていきたいですね。
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