「人車一体」の走行フィール
もっと印象的だったのは、フットワークの仕上がり具合。相当にスパルタンなクルマをイメージしていたのですが、実際にはむしろ逆で、標準のGT-Rよりも乗り心地がよく感じられたほど。標準GT-Rに付く3段階の減衰力調整機構が廃されていて、一般道での乗り心地が大丈夫なのか気になっていたのですが、これ1本で十分ということなんでしょう。
むろん、ときおりガツンとくる固さはありますが、大幅に軽くなったバネ下重量の恩恵もあり、タイヤが路面への追従性が高まっていて、強化されているのに、しなやかに動いてフラットな姿勢を保つという印象があります。これにより、クルマの挙動を掴みやすく、コントロール性が向上し、走りの一体感が増して、「人車一体」のハンドリングに近づいていることがわかります。また、標準のGT-Rよりもトラクションが増していて、クルマがより前へ前へと進むようになっていることを感じ取ることができます。
さらに、ステアリングフィールも標準のGT-Rに対して大きく洗練されていました。標準のGT-Rは、妙にセンターの遊びが大きく、またワンダリングがきついことが気になっていました。ところがスペックVでは、切り始めから素直にノーズが向くし、ワンダリングが薄れていたことにも感心させられました。これも「人車一体」の感覚を、より印象深くさせているポイントです。
GT-Rというと、2008年夏、ニュルブルクリンクでマークしたという7分29秒3というラップタイムに対してポルシェがクレームをつけ、物議をかもしたことも思い出されます。そして、2009年4月にはメディアの衆前でタイムアタックを実施し、7分27秒56というタイムをマークして、自身の記録を更新したことが伝えられました。これは、コルベットZR-1がマークした市販車最速となる7分26秒4に肉薄するタイムです。
そして日産では、今後もさらなるタイムアップを目指していくとのこと。今回のスペックV試乗では、それが実現する日もそう遠くないであろうポテンシャルの片鱗をうかがうことができました。
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