ストリートユースは完璧だが、ハード走行では問題ありのブレーキ
スーパーカーに相応しいブレーキ性能を持つGT-Rだが、本格的にサーキット走行を行うとなると決して十分なパフォーマンスとはいえない |
ですから、ブレーキに関して不満が出るというのは、本格的なサーキットユースや大きな声では言えないようなペースで公道を飛ばすなど、特殊な用途に限られるハナシとなります。ただ、そうした本当にGT-Rの性能を堪能するような走りに対しては、ブレーキ性能は万全とはいえないようです。
簡単にいえば、ブレーキの発熱量に対して、放熱量が追い付かなくなる、すなわちブレーキの容量が足りないことが問題となります。また、メンテナンスサイクルなども考慮した純正のフルードも、熱によって気泡が発生するベーパーロックを起こしやすく、サーキットでの連続走行に十分に対応できる、とはいえないようです。
そこで、根本的な対策として、ブレーキローターの径を拡大する、もしくはローターをより放熱性の高い設計の製品に交換するという方法が有効となります。これと合わせて、ブレーキパッドもより耐熱性に優れ、好みの効き具合の製品に交換するというのが一般的な手法となります。単に効きのいいパッドに交換するというだけでは、より発熱量が増えてしまい、さらに悪い方向へといってしまうため、注意が必要です。
また、メンテナンスの面でも純正のブレーキは、かなり金銭的な負担の大きいシステムといえます。例えば、純正部品でフロントのパッドとローターを合わせた価格は約24万円するのですが、メーカーの基準ではパッドが摩耗しただけでも、ローターとの同時交換が必要になります。つまり、下手をしたら1日サーキットを走ってパッドが摩耗すると、それだけで24万円のメンテ費用が掛かってしまうのです。
それを考えると、維持費の面からも放熱性の高いローターに交換し、メンテナンスサイクルを伸ばすという方法が有効かもしれません(設定以上の温度になると、パッドやローターは著しく消耗するようになります)。また、特にブレーキに厳しいサーキットを走行する場合には、ブレーキフルードも沸点の高いタイプに交換しておいた方が安心でしょう。ただし、この場合はフルードの交換サイクルはノーマルよりも短くなる点に注意が必要です。
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