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NISSAN GT-Rメンテ&チューニング事情 その2

前回の記事では、メーカーの指定部品以外の使用が規制されたNISSAN GT-Rに対して、実際の現場ではどのような対応がされているのか、その概要を紹介したが、今回はより具体的にその内容に迫ってみる。

執筆者:宮島 小次郎


乗り心地の改善がサスセッティングの課題?

GT-R
従来の国産車からは考えられないほどの完成度を誇るGT-Rだが、ことサスセッティングについては完璧とはいえないようだ
メンテナンスやチューニングについて、様々な縛りが課せられたNISSAN GT-Rですが、前回の記事ではそうした規制に対して、実際の現場ではどのように対処しているのか、その概要について取り上げました。そこから見えてきたのは、いくら完成度の高いクルマといえども、メーカー保障の対象外となるリスクがあるのは覚悟で、より自分の好みに合わせたカスタマイズを施したい、自分の使い方に合ったメンテナンスを施したいと考えているユーザーがいるということでした。そこで、今回の記事ではそうしたメンテやチューニングについて、より具体的な内容をご紹介したいと思います。

ダンプトロニック
スイッチ操作によってダンパーのセッティングを“コンフォート”モードに変更することもできるが、そうなると今度はダンピング不足が気になってしまう……
まず、ノーマル状態のGT-Rについて、最も不満の声が聞かれるのが、そのサスペンション・セッティングです。あれだけの性能を支えるアシですから、それなりにハードな設定になるのは仕方ないと思いますが、日常的に乗ることを考えるとその乗り心地はちょっと厳しいかな、と感じます。そのあたりは日産の方でも了解していたらしく、北米への輸出が始まった7月頃のモデルからはより突き上げ感を抑えたセッティングにマイナー変更が施されました。ただ、それでも大幅に改良されたとはいえず、依然としてその乗り心地はハードに感じられました。

そこで、GT-Rのカスタマイズを得意とするプロショップなどでは、快適性を高めつつもGT-R本来の走行性能を損なわないよう独自にセッティングを施したサスペンションキットをリリースしています。これらはダンパーなどにより精度の高いレーシングユースの高級パーツを用いることで、理想的な減衰特性を発揮させることを狙ったものです。中には、サーキット走行でのパフォーマンス向上を第一に狙った製品もありますから、目的に合った製品を選ぶことがポイントとなります。

ただ、個人的な意見としては、走行性能という点においては、ノーマルのサスセッティングは十分以上のパフォーマンスを発揮するものですし、エンジンパワーやタイヤの性能とのマッチングを含めた完成度という意味では、従来の市販車とは比べ物にならないくらい高いレベルにあると思います。そのため、迂闊に手を入れてしまうと、そのバランスを崩してしまい、かえって性能を落としてしまうことにもなりかねない、とまさにメーカーが警告する通りのことを感じました。

ただし、ある程度以上の技量のドライバーがサーキットでその性能をフルに使い切って走るという場合には、ドライバーの好みに合わせて特性を変更することで、より速く楽しく走れるようになる可能性は十分にあります。また、ノーマルの乗り心地にどうしても我慢できないという場合にも、そうした目的にマッチした製品を選べば、改善が期待できるはずです。いずれにしても、GT-Rのサスペンション・セッティングを変更するには、相当にノウハウを持ったプロショップに作業を依頼することが大切です。

またメンテナンスという面からみると、1台分で約50万円という純正のビルシュタイン製ダンパーの価格にはちょっと驚かされます。まだそれほど距離を走ったクルマというのもないでしょうが、数年後ダンパーの交換が必要と判断されたときには、オーバーホールによって再使用が可能な社外品を選ぶというのも、選択肢のひとつとしてポイントになってくると思います。

次ページではブレーキについて紹介します
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