カーメンテナンス/車のトラブル

カーエアコンの故障?コンプレッサーの確認方法・原因と対処法

車のエアコンが効かない、冷房、暖房の調子が悪いなどカーエアコンの故障トラブル要因はその大半がガス漏れですが、それ以外の原因も。カーエアコンが故障かどうか見極めるための簡単にできるトラブルシューティングをご紹介します。

執筆者:宮島 小次郎

 

簡単に確認できるカーエアコンのトラブルシューティング

カーエアコンの故障 まずはコンプレッサーを確認

カーエアコンが効かない


車に長年乗っていると、急にカーエアコンが効かなくなったり、冷えない、暖まらないなど、故障トラブルはつきもの。そこで今回は、カーエアコンが故障かどうか見極めるための、簡単にできるトラブルシューティングをご紹介します。


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カーエアコンの故障?まずはコンプレッサーが動いているか確認

コンプレッサーの位置
コンプレッサーは大抵エンジンの下の方、ちょっと奥まった部分にあります。そのため車種によってはちょっと点検しづらいかもしれません
前回までの記事でエアコンが効かなくなる最大の原因であるガス漏れについて、その危険な修理方法漏れやすい場所などについて取り上げてきました。ですが、実はそれ以前の問題として、エアコンが効かない本当の原因は何なのか、という部分を突き止める必要があります。そこで今回はエアコントラブルの原因を見極める簡易的な方法をご紹介します。

エアコンの効きが悪くなってきた、冷たい風が出てこない、という時には、まずエアコンのコンプレッサーが作動しているかどうか確認してみて下さい。コンプレッサーはエンジンに取り付けられた補機で、ファンベルトによって駆動しています。その外見は直径20cmほどの丸い筒状のもので、電力を発電するためのオルタネーターに似ていますが、ガスが出入りするための2本の太い配管が接続されているのが特徴です。

さて、このコンプレッサーが作動しているかどうかをチェックする方法ですが、普段から注意深くクルマの様子を観察している人でしたら、エアコンを作動させた時にエンジンルーム内でカチッと作動音がするのを聞いたことがあるのではないでしょうか? それがコンプレッサーが作動を開始した音です。同時にアイドリング時のエンジン回転数が上がるアイドルアップの制御が入るのもポイントです。

そうした細かい変化が分かりにくい場合には、エンジンルームを開けて直接コンプレッサーの作動を確認することができます。まずエンジンを切った状態でコンプレッサーの位置を確認し、ベルトが掛かっているコンプレッサープーリーの状態を見ておきましょう。エンジンが掛かっていませんから、当然ベルトもプーリーも止まっている状態です。

次にエアコンはOFFの状態で、エンジンを始動します。ベルトが回転し、それに合わせてプーリーも回り始めますが、よく見るとプーリーの中央部は回っていないことに気づくはずです。そしてエアコンのスイッチを入れます。正常な状態であれば、カチッという音とともにプーリー中央部も回りはじめます。

エアコンの状態によっては、コンプレッサーが作動しないこともありますので、まずはその作動を確認することが第一段階です。
 

カーエアコン故障の原因
コンプレッサーが作動する場合

サイトグラス
エアコンサイクル内のガス量を確認するためには、サイトグラスを活用します。汚れている場合は、まずきれいに拭きましょう
さて、まずはコンプレッサーが作動しているケースですが、この場合、エアコンのシステムはとりあえず作動しており、十分な量であるかはともかくガスも最低限の量は残っていると判断できます。次にサイトグラス(システム内のガスの流れが確認できる窓)があるクルマでは、その中の様子を見てみてください。

液体が流れ、たまに気泡が見えるという状態であれば、とりあえずガス量は十分です。この状態で冷気が出ないというのであれば、システム内に詰まりなどが発生し、内部の圧力に異常がある可能性がありますので、専用のゲージを使ってガス圧を確認する必要があります。また、エアコンシステムの温度調整機能がうまく働かず、暖房が混ざっていることも考えられます。いずれにしても、プロによる診断を受けるべきでしょう。

次にサイトグラス内には白い泡のようなものしか見られないというケースですが、この場合、ガス量が足りていない可能性が濃厚です。前回も紹介したように、まずはガスが漏れている場所を探し、その対策をした上で、ガスをチャージすればエアコンは正常に作動するようになるでしょう。

またコンプレッサーが作動しても何も見えないという場合は、可能性としては液体だけが流れていることが考えられます。この場合は、ガスが多すぎることがその原因です。ガスが多すぎる場合には、システム内の圧が上がり過ぎ、保護機能が働きコンプレッサーが作動してもすぐにカットされてしまい、結果としてエアコンが効かなくなるのです。まずはガス圧を点検し、多すぎるようなら適正な量までガスを減らすといった作業が必要になります。

ただし、サイトグラスによるガスのチェックという方法は、あくまでも目安であり、車種や使用しているガスの種類などによっても、その状態は変わりますから注意が必要です。そのため、これだけを目安にガス量を判断することは危険です。あまりあてにしてはもらっては困る、というためか、最近のクルマではこのサイトグラスが付いていないものも見られます。
 

カーエアコン故障の原因
コンプレッサーが作動しない場合

コンプレッサー
エアコンを作動させても全くコンプレッサーが作動しないという場合は、様々な要因が考えられますので、原因の特定は難しくなってきます
コンプレッサーが作動しない場合には、当然ながらエアコンは機能せず、冷気は全く出ません。コンプレッサーが作動しない原因は、ガス量が少なすぎることが一番に考えられます。整備方法としては、コンプレッションゲージを接続し、システム内の圧力を測定する方法が挙げられますが、機械的なトラブルの可能性が少ない場合にはとりあえずガスをチャージしてコンプレッサーが作動するか確認するという少々荒っぽい方法もあります。

ガスチャージでコンプレッサーが作動するということは、とりあえずシステム的には問題はなく、単なるガス漏れであると判断できます。その場合は、前回ご紹介したようにガス漏れの位置を特定し、対策を行うことで今後のトラブルも防げるはずです。

ガスが入っているのに、コンプレッサーが作動しないという場合は、少々やっかいかもしれません。それ以前にコンプレッサーから異音が出ていたりといった前兆があった場合には、コンプレッサーのメカ的なトラブルが疑われます。また前述のプーリーとコンプレッサーを接続する電磁クラッチに不具合が発生しているケースもあります。この場合、コンプレッサーの修理や交換が必要になることもありますので、プロに診断を依頼してください。

また電気的なトラブルによって、エアコンが作動しないケースも考えられます。例えば、送風を行うファンの故障であったり、ヒューズ切れの可能性も考えられます。その他にも、エアコンの制御というのは実に様々なセンサーによってチェックされていますので、そうしたセンサー類の不具合ということも考えられるのです。その場合も経験のあるプロに点検整備を依頼すべきでしょう。

このようにエアコントラブルの原因というのは、実に多種多様です。そのため、素人判断では通用しない部分も多々ありますので、簡易的なトラブルシューティングで原因がつかめない場合は、素直にプロに点検を依頼する方が結果的に早く、安くトラブルを解決できることでしょう。

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