エンジン摩耗の原因とは

エンジン摩耗の原因とは

誰もエンジンの寿命を縮めようと思ってクルマを運転している人はいないでしょうが、良かれと思っていること、または日常的に仕方なく行っていることが、エンジンにダメージを与えていることもあります。できれば避けたいエンジン摩耗の条件をおさらいして、多少なりとも日常の使用に反映してみましょう。
   

エンジン摩耗の原因1. エンジン始動後いきなり走り出す

エンジン内のオイルは、エンジンの回転で回されるオイルポンプで循環するので、セルモーターを回してからエンジン始動後の数秒間は、エンジン全体にオイルが行き渡りません(2~3秒と思われます。少なくとも何十秒も掛かるわけではないと思います)。この時、潤滑不足を起こして摩耗を起こす可能性があります。

特に、しばらく乗っていないクルマのエンジンを掛けると、オイル通路に残っていたオイルが下がっているため、より遅れが多く発生します。摩耗が進行しているエンジンでは、始動直後にカタカタカタなどと特有の打音を発生することもあります。このようなエンジンでは、オイルフィルターを新品にした時にも似たような現象が発生します。

つまり、新品にしたフィルターをオイルが満たすのにタイムラグが生じ、数秒ではあるもののオイルの供給不足を起こしていると考えられます。人に例えると、立ちくらみのような現象です。

これを極力避けようとした場合、エンジンをスターターで空回ししてから始動するとか、始動前に別のポンプでオイルを循環させてからスターターを回すなどの方法が考えられますが、特殊な操作や機器が必要になるので、一般的ではありません。良質のオイルを使うのが、せめてもの対策でしょう。
 

エンジン摩耗の原因2. 冷間始動

エンジンが気温と同じくらいに冷えている状態を冷間(時)と呼びます。この時のエンジン始動を冷間始動などと呼びます。エンジンが冷え切っている状態ではガソリンが気化しにくいので、始動性を良くするために、暖まっている時(温間)よりもかなり多くの燃料が供給されます。

ガソリンは、エンジン内に入るとすぐに気化されるように思われるかもしれませんが、大げさにいうと液体で入っていくといっても過言ではありません。燃料噴射式の場合、霧状で噴射されますが流れの中で吸気ポートの壁面やバルブに付着したガソリンは滴になっていることも多いものです。

これが、シリンダー壁に付着すると、オイル分を洗い流してしまい金属表面を露出させてしまうため、潤滑不足になったり、燃焼ガスの硫酸分が表面を腐食させるなどの摩耗促進作用をしてしまいます。

ちなみに、そもそも気体の燃料を使う天然ガスエンジンなどでは、冷間始動時の燃料増量はないそうです。考えてみれば、家のガスコンロや電子ライターは、寒くても特別の操作をする必要がありません(ただし、圧力は下がるのでガスが出にくくなることはあります)。

エンジン摩耗の大部分が、始動時に起こるというのには、このあたりも関係しているようです。まあ、エンジンが減るからといって始動しないわけにはいきません。痛しかゆしの場面です。
 

エンジン摩耗の原因3. 低油温

エンジンオイルというのは、ある程度の温度にならないと効果を発揮しない添加剤があります。つまり、エンジンオイルが冷えた状態では、摩耗防止効果がフルに発揮できないことが考えられます。

オイルの温度は油温とも呼びますが、スポーツタイプや後付けのメーターを追加しない限り、油温を知ることはできません。油温の上昇の仕方は、エンジンによって異なりますが、水冷式のオイルクーラーを採用しているクルマは、比較的早く暖まります。
一般的なエンジンでは装着されないことも多いのですが、冷間始動からアイドリングさせたままでは、水温が上がっても油温は低いままということもあります。ましてや、低速運転時に摩耗が促進されるカムシャフトは、エンジンのシリンダーヘッドというオイルパンから最も離れた位置にあるので、さらに低油温になります。

また、オイル中に溶け込んだガソリン分や燃焼で発生する水分がいつまで経っても蒸発しないので、低温スラッジといわれる物質が発生しやすくなります。このようなエンジンでは、オイルがガソリン臭くなっていることもあります。
油温の適温は、水温の上下10度くらいが目安で、80~100度前後と言われています。
海外のチューニング用品の中には、油温を上げるためのヒーターがあるようです。これは、極寒地方で使われるブロックヒーターなどとは別物で、ちょうどレースで見られるようなタイヤウォーマーのような目的といえそうです。
 

エンジン摩耗の原因4. アイドリング

アクセルを完全に閉じたアイドリング運転は、日本語では遊転とも訳されることがあるように、エンジン自体が作動できる最低限の出力で回転する状態です(正しくは、仕事をしてなければ出力ゼロです)。渋滞でのノロノロ走行でクルマが走ったと思ったら、再び停止するという運転パターンもアイドリング主体の使い方です。

 一見、エンジンには負担が掛かっていないようですが、別の部分では摩耗が促進されます。
ここで、摩耗が進行しやすいのはカムシャフトを始めとする動弁系です。カムシャフトというのは、燃焼室の空気の出し入れをコントロールするバルブを決められたタイミングで押し下げるパーツで、横から見ると卵形のような断面形状をしています。

カムはバルブを密着させているスプリングの力に対抗しながら、バルブを押し下げていきますが、低回転になればなるほどスプリングの反力をまともに受けてしまい、カム山の頂点が摩耗しやすくなるのです。回転が上がってくると、押し下げたバルブの慣性力がスプリングの反力を低減させ、オイル自体も摺動面に良く巻き込まれるので、潤滑条件が良くなります。

ちなみに、カムシャフトというのはクランクシャフトの半分のスピードで回ります。仮にエンジンが2000回転(分)で回っているとすると、カムは1000回転(分)で回ることになります。
 

エンジン摩耗の原因5. ターボタイマー

私の住んでいるマンションで280ps級スポーツカーのターボ車オーナーが2人いるのですが、その辺に出かけて帰ってくる程度でも、ターボタイマーで30秒~1分ほどのアフターアイドルを律儀にやっています。

夜中に帰ってきてもこれなので、騒音、省エネ、環境(排ガス)という面から好ましくないのはもちろん、エンジンを大事にしているつもりが、かえってダメージを与えてしまうことに早く気づいて欲しいなあと思う今日この頃です。
確かに、高速道路を走行してパーキングやサービスエリアに入った時は、クールダウンをした方が良いと思いますが、過度なアイドリングは摩耗を促進させるので注意しましょう。
 

エンジンを傷める乗り方とは?

近くのコンビニなどに買い物に行くのに、いちいちクルマを使い、暖機もままならないうちにエンジン停止。このようなチョイ乗りといわれる乗り方は、かなりシビアと言えます。実際にメーカーで規定されるシビアコンディションの中には、ちょっとした買い物や送迎など、8キロ以内の短距離走行を繰り返す状態を含む場合があります。

この乗り方では、冷間始動が多く油温も上がらない、低速走行が多いなどエンジンにとっては悪い条件ばかりなのです。また、マフラーに水が溜まりやすくなるので、材質が鉄製の場合は腐食が早期に進行します。

理想論になりますが、不要不急のクルマの使用は避けて、一旦エンジンを掛けたら走りっぱなし、余分なアイドリングもしないという使い方が長持ちさせる条件のようです。

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