ジュエリー/その他のジュエリー関連

未来へ受け継がれてゆくジュエリー&時計とは 伝えていくために選ぶということ

その美しさはいつまでも褪せることなく、その価値は時の移ろいに流されない……そういうジュエリーがあるとしたら、一体どんなもの? ブランドに左右されない、もうひとつの選び方を考えます。

執筆者:本間 恵子

おしゃれのためでなく、受け継がれるために

ヨーロッパには「ファミリージュエリー」という考え方があるのをご存じですか。それは親から子へと世代を超えて受け継がれていく、永遠のジュエリーのこと。必ずしも高価な品とはかぎらず、感謝や愛情など、特別なセンチメントを伝える役割を果たしてくれるものが、それに当たります。ファミリージュエリーは、世代を超えて温かな気持ちを伝えるメッセンジャーなのです。

時計もまた然り。ひとつの時計を誰かが受け継ぐとき、その人はきっと、小さな機械を通じてもとの持ち主とのつながりを深く感じることができるでしょう。時計は本来、正しい時を知るためにあるもの。しかし受け継がれていく品には、そこにセンチメンタルな意味あいが加わっているのです。

最新流行のスタイルで作られたファッショナブルなデザインは確かに目を引きますが、そうしたトレンドコンシャスな選び方とは違う、もうひとつのジュエリー・時計の選び方について、ここで考えてみましょう。

《ティファニー》の
アンティークダイヤモンドリング。
繊細なプラチナの台座と、1カラットの
オールドヨーロピアンカット・
ダイヤモンドがため息を誘う。
Photo: Victrian Box

本当によい品は、一代かぎりでは終わらない

アンティークのジュエリーや時計が、数十年、あるいは数百年を経ても失われることなく現代に残っているのはなぜでしょうか。その理由のひとつにクオリティの高さがあるのは、間違いありません。質の劣るものであれば、その品はとっくに壊れてうち捨てられたり、全く別なものに作り替えられてしまったはず。よい品であったからこそ、大切に愛され現代まで受け継がれたのでしょう。

ファミリージュエリーに大切なのは精神性であって、値段ではありません。とはいえ、時の流れに淘汰されず確実に未来へ伝えていける品を求める場合には、稀少さや価値の高さが必要になってきます。ファミリージュエリーは、流行のおしゃれや実用性で選ぶふつうのジュエリーや時計とは、まったく違うのです。

愛する人々の未来に投資するために、できうるかぎりよい品を選び抜くのが、ファミリージュエリー。それは、単なる奢侈(身のほどを超えた贅沢)とは一線を画しているのですから。

《ハリー・ウィンストン》の1点ものリング。
中央に輝く“ファンシー・インテンス・イエロー”の
クッションカット・ダイヤモンドは25.52カラット。
両脇の石は計1.70カラット。
Photo: Harry Winston

変わることのない、永遠の価値を探して

ファミリージュエリーには「いくらくらいのものを、いつどこで買う」といった、お決まりのレシピはありません。それぞれのファミリーが持つビジョンやメッセージを、未来に伝える品であればそれでよいのです。たとえば結婚記念日や誕生日、出産や新居への引っ越しなど、人生の折々のアニバーサリーを祝う気持ちを込めたジュエリーや時計は愛着を持って使うことができますし、ファミリーにとっても思い出深い記念品になるでしょう。

また何度もいうように、流行のモードのために買うのではないのですから、幾星霜を経ても美しさを失わないコンサバティブな定番デザインを選ぶほうが、より目的にかなっているといえるでしょう。定番デザインには、長きにわたって多くの人から選ばれ続けるだけの理由が、おのずと備わっているものですから。

自分のためだけでなく、未来のために買うジュエリー・時計……もうそろそろ、そんな選び方をしてもいい頃だとは思いませんか。

スイスの名門《パテック フィリップ》の腕時計。
アールデコから想を得たこのブランドの定番
「ゴンドーロ」と呼ばれるモデル。
何世代にもわたって使える飽きのこない美しさ。
Photo: Patek Philippe

 

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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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