妊娠5~6回に1回の割合で中絶手術が行われている

実は40代女性の中絶手術は多い

実は40代女性の中絶手術は多い

平成26年の出生数は100万3532人、前年の102万9816人より2万6284人減少し、歯止めの利かない少子化現象が日々ニュースを賑わせています。

一方で、日本では、年間約20万件もの人工妊娠中絶術が行われているのをご存知ですか? 出生数を約100万人と考えれば、だいたい5回~6回の妊娠に1回の割合で中絶手術が行われていることになります。

日本の中絶手術は、件数だけをみると25歳前後の女性が多く、理由は「未婚のため」です。一方、国立社会保障人口問題研究所のデータでは、25歳以下の結婚の理由も「妊娠したから」となっています。妊娠を人生のライフデザインとして、望ましい時期に迎えることができることが理想ですが、なかなか実現できない理由はなんでしょうか。

意外にも40歳代の妊娠中絶手術が多いという現実

40歳代の予期せぬ妊娠で中絶を選ぶ人も

40歳代の予期せぬ妊娠で中絶を選ぶ人も

「妊娠した場合に中絶を選択する割合」を見てみると、実は10歳代と40歳代以上の女性の割合が非常に高くなっています。「予期せぬ妊娠」と聞くと、年若い10歳代の妊娠を想像するかもしれませんが、40歳代以上にも人工妊娠中絶が多いという現実があります。中絶がしたくて妊娠する女性はいないはずです。どんな情報が共有されるとよいでしょうか。

大人世代にしっかりした避妊知識がない

たとえ40代でも生理がある限り妊娠の可能性はある

たとえ40代でも生理がある限り妊娠の可能性はある

現在の平均初産年齢が30.6歳。この初産年齢は世界一で、年長の初産婦さんが多い国といえます。「2人目不妊」とい現象もあり、1人目を妊娠しても加齢や疲労で2人目をなかなか授からない例も少なくありません。希望して予定しても、思い通りには妊娠しない現実があります。

1人目、2人目、3人目と産んだ後の「産後の避妊」に気を配っていないために妊娠することも。当たり前の話ですが、女性は生理がある間は、常に妊娠の可能性があることを忘れてはいけません。「避妊法」と聞けば、これも10歳代の若い人に教育するものだと思いがちですが、この結果をみると、大人世代にしっかりとした避妊知識がないことが問題だと思われます。


コンドームの避妊効果を過信している人が多い

日本ではピルが普及していないにも係わらず、コンドームの避妊効果を100%だと勘違いしている人も多いのです。コンドームの避妊失敗率は15%もあります。いわゆる「外出し」という膣外射精が、避妊法の一つとしてカウントされているのは日本くらいのもの。コンドームや排卵日を予測したカウント方法式などは必ず失敗率があることを認識しておきましょう。

また、避妊法についておさらいしますと、まず排卵を抑制する「経口避妊薬(低容量ピル)」と、着床を妨げる「胴付加型IUD(子宮内避妊器具)」は避妊の失敗率が0.1~0.5%と比較的避妊効果が高い方法です。さらには、この低用量ピルとIUDの二つの効果を併せた『IUS(Intrauterine Contraceptive System) 』と呼ばれる新しい避妊法も登場しています。1度の装着で5年間効果が持続し、生理の量が少なくなるといった特徴があります。


絶対に失敗しない避妊法は無い

各種避妊法別の失敗率は以下の通りです。
・避妊手術・・・・・・・・・・・女性0.5%(0.5%)男性0.15%(0.10%)
・経口避妊薬(低用量ピル)・・・5%(0.1%)
・女性用コンドーム・・・・・・・6.3%
・コンドーム・・・・・・・・・・14%(3%)
・殺精子剤・・・・・・・・・・・26%(6%)
・基礎体温法・・・・・・・・・・20%
・オギノ式・・・・・・・・・・・25%(1~9%)
※失敗率は一般的な使用の場合。( )内は理想的な使用の場合の失敗率。低用量経口避妊薬(OC)の医師向け情報提供資料より抜粋


「もしや避妊失敗!?」その時は、緊急避妊ピルを

それでも人間には失敗がつきもの。私のところにも「恥をしのんで告白します。避妊していたのに、途中でトラブル!どうしよう」と対応策を相談される事があります。

繰り返しますが、中絶したくて妊娠する人は皆無です。ギリギリの避妊法としていまあるのが「緊急避妊ピル」です。これは通常のピルと同様のホルモン剤ですが、同じ使い方ではなく、緊急避妊ピルとしての独特な使われ方をします。

使い方としては、妊娠の可能性が高い性行為が行われた72時間以内(3日以内)に服用し、次に、その12時間後に服用します。正確に使用した場合でも効果が出ない率は約2%といわれていますが、身体への負担は軽く、高い確率で予期せぬ妊娠を阻止できる方法としてご紹介しておきます。

子育て環境さえ整っていればOKか?

上の子との年齢差や経済事情を気にする人も

上の子との年齢差や経済事情を気にする人も

40歳以上の中絶の理由としては「いまさら育てられない」「上の子と年が離れすぎている」「育てたいが経済的な余裕がない」「重い障害が見つかり、支援者もいない環境では育てられない」と様々にあるでしょう。

誰も責められませんし、妊娠は男女1組から始まることですから女性だけが悩むのも悲しいことです。妊娠の可能性のある時期は産むか産まないかもきちんと男女で対話し、産み育てない時期や関係性を迎えたら、閉経までは避妊を完璧に。IUSなどを活用し、女性自身が自分で避妊方法を自己決定して、自分の身体や人生を守りましょう。

もちろん、40歳以上の妊娠出産を喜びで迎える人も5万人を超えています。もし、予定外で驚きの妊娠だったとしても、家族・夫婦の協力関係が確立した家庭であれば、きっと喜びをもって新しい命を迎えることもできるはず。流産率も40~50%以上といわれている中の40代の妊娠ですから「せっかく授かった命、育てていこう!」というカップルも。この決心ができるかどうかは、「わかちあい子育て」ができそうかどうかも、無関係ではなさろう。

何歳になっても「しまった」ではなく「よかった」で妊娠を迎えるカップルが増えるとよいですね。


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■関連リンク(外部サイト)
OC(低用量ピル)や避妊・女性の健康管理等についての情報サイト
緊急避妊ピルについて・家族計画協会ホームページ
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※妊娠中の症状には個人差があります。記事内容は全ての方への有効性を保証するものではありません。体の不調を感じた場合は、自己判断せず必ず医療機関に相談してください。