若者の性が問題視されがちだが、40歳以上の中絶例も少なくない

望まない妊娠と聞けば、「若者の性」が問題視されがちですが、40代以上にも人工妊娠中絶が多いという現実があります。年齢別の人口妊娠中絶件数や中絶割合についての調査が出ています。

厚生労働省「平成29年度衛生行政報告例」による人工妊娠中絶件数を年齢別件数でみると、一番多いのは20~24歳で39,270件ではあるものの、40~44歳は14,876件、45~49歳は1,363件と、40歳以上の中絶例も少なくないのが現状です。なお「20歳未満」について各歳でみると、「19歳」が6,113件と最も多く、次いで「18歳」が 3,523件となっています。

また平成29年度の人工妊娠中絶件数は164,621件で、対前年度に対し-2.0%となり3,394件減っている中で、45~49歳については0.8%増えていることも見逃せません。

さらに平成25年度と平成29年度を比較したとき、全体の人工妊娠中絶件数は-11.6%となり21,632件減っているのに対し、「45歳~49歳」での中絶は10.2%程増えています。
 
厚生労働省「平成29年度衛生行政報告例」母体保護法関係

厚生労働省「平成29年度衛生行政報告例」母体保護法関係より

 

40代後半の「産み終え世代」では、産む人より中絶を選択する人が多い

日本家族計画協会より、同じ厚生労働省「衛生行政報告例」の平成26年度調査に基づく、「妊娠100件に対する人工妊娠中絶の割合」が発表されています。この調査によると、妊娠100に対して中絶する人の割合は、20歳未満が57.8、40~44歳が25.0、45~49歳が51.3であり、40代後半では「産む人」よりも「中絶を選択する人」の方が多くなっているのです。件数を「割合」で見ると、「若者」も40代後半もそれほど変わらないことが分かります。
日本家族計画協会

若者の性だけでなく、産み終え世代の中絶数増加も問題であることが分かる(出典:日本家族計画協会)

 

避妊に関して正しい知識がないは10代も40代も一緒

40代で「希望していないのに妊娠してしまう」理由の多くは、「まさか妊娠するとは」という油断からくるものと推察されます。以前クリニックにいらした40代半ばの患者様も、月経が来ないことを「更年期のせい」だと信じ込んでいらっしゃいました。
40代 中絶

月経が来ないは更年期のせいだと思っていたら

超音波検査で妊娠の事実を告げると、
「え⁈ なんで⁈ たまにしかしていないのに」
→1回の性行為でも妊娠はします。

「ちゃんと外で出したのに⁈」
→膣外射精は全く避妊にはなりません。

というつっこみどころ満載の反応でしたが、実は、避妊に関して正しい知識を持っていないのは、10代も40代も変わらないのです。

 

妊娠を希望していない40代は、本来閉経するまで避妊が必要

もちろん、妊娠の継続をしないという理由は、10代と40代では異なります。40代の方の場合、多くは、体力がない・経済的に無理・すでに複数の子どもがいる・高齢出産に対する不安が大きい、などがその理由となることが多いと考えらえます。

予定外の妊娠の場合、その女性の心身の健康を保つための選択肢の一つとして人工妊娠中絶がありますから、中絶という選択をすることはやむを得ない場合もあるでしょう。でも、本来であれば、「妊娠を希望していないのであれば、閉経するまでは避妊する」ことが必要なのです。

 

確実な避妊をしたければ、避妊効果が高い方法を

前述の膣外射精のように間違った避妊方法を選択して「ちゃんと避妊しています!」という方も少なくありません。日本人の7~8割が、いまだにコンドームという不確実な方法で避妊しているというデータもあります。

避妊効果の目安となる「パール指数」で比較してみると、いかに「危ない橋を渡っている」のかが分かると思います。パール指数とは「各種避妊法使用開始1年間の失敗率(100人の女性が1年間に妊娠する率)」のことです。

各避妊方法のパール指数は、
  • ピルは0.3(9)
  • ホルモン付加子宮内避妊具は0.2(0.2)
  • 銅付加子宮内避妊具は0.6(0.8)
  • コンドームは2(18)
  • 膣外射精やオギノ式などは5(24)
また避妊しなければ85です。
*()内は一般的な使用法の場合を表します。例えばピルであれば、正しく服用法を守って一度も飲み遅れや飲み忘れがないの場合が「理想的」ですが、飲み忘れが何度かあったり飲み方を間違えたりするのが「一般的」です。コンドームであれば、最初から最後まで絶対にずれたり漏れたりせずに使用した場合が「理想的」ですが、途中から使ったり外れたり破れたりするのが「一般的」です。なお、ピルの避妊率は「理想的」な方を用いて説明し、コンドームの避妊率は「一般的」な方を用いて説明することが多くなっています。


確実な避妊をしたければ、ピルを飲むか子宮内避妊具を入れるかです。海外にはそのほかの選択肢もありますが、日本で使用できる確実な避妊はこの2種類です。たとえ結婚していても、40代でも、「今は妊娠を希望していない」タイミングで性行為を行うのであれば、自分の手で確実な避妊をすることが「自分の人生を主体的に生きる」ことにつながります


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