妊娠中のお腹の張りは子宮収縮によることも原因の一つ
子宮の筋肉が緊張すると「キュッ」とかたくなることがあります。これを医学的には子宮収縮といって、一般的には「お腹の張り」といっています
感じ方は人によって違っているようですし、実は「お腹の張り」イコール子宮収縮というわけではありません。それは、おなかの張りとは、本人の自覚によるものだからです。よく調べてみると、張っていると思っても、実際は「子宮を支えている靭帯が引っ張られる」「腸の蠕動」「皮膚のつっぱり感」だったりすることも、多いことがわかっています。
妊娠中の子宮収縮はお産に向けての準備
通常は10~50mlほどしかない子宮の容量は、お産の前には4~5リットルにまで大きくなります。子宮の筋肉がこうして伸展するのには、必ず収縮が必要になります。あなたもジャンプしようとすれば、膝をまげて屈んでから、飛びますよね。これも足の筋肉を収縮させてから伸展させるからです。筋肉には収縮と弛緩(伸展)がセットになっています。また、お産という大仕事に向けて、子宮も準備をしておかなければなりません。だから収縮します。あなたも10ヶ月後にマラソンをしようと思えば、少しずつ練習して距離を伸ばしてゆき、足がつったり筋肉痛になりながら、来るべき本番にそなえますよね。だから妊娠中の子宮は収縮します。個人差はありますが、妊娠20週前後から感じやすくなり、30週を過ぎると、頻繁になると訴える妊婦さんが増えてきます。お腹の張りは妊娠中のトラブルを見つけるための大切なサインではありますが、ほとんどが生理的で、赤ちゃんへの影響はありません。
暫く休んで治まるお腹の張りは大丈夫です
妊娠中のお腹の張りには慌てず対応を
そのときはしゃがみ込まなければいられないほどでも、少し休めば治まるようであれば、たいていは心配いりません。これからお産に向けて、もっと頻繁に張りを感じるようになるかもしれません。特に妊娠10ヶ月目になると、1時間に10回くらい張ることも珍しくありません。夜間にはりやすいので、心配になるでしょうが、朝には治まっている人も多いはずです。ほとんどが心配ありませんが、気になる場合は、産院に電話をして相談してみましょう。
少し注意が必要なのは、張りだけでなく、おりものに血液が混じったり、熱が出てきたり、張りが規則的に続くとき。そんなときは受診してください。
妊娠中のお腹の張りの原因チェック
まずはお腹の張り原因チェックです。慌てずに対応しましょう。- お腹が冷えていませんか?
お腹が冷えると、膀胱も収縮してトイレが近くなります。子宮も同じように筋肉でできているので、張りを感じやすくなります。 - お腹を締めつけていませんか?
腹帯やガードルなどでおなかを締めつけていると、張りを感じることがあります。 - 疲れていませんか?
長時間歩き回ったり、立ちっぱなしだったときなど、お腹がよく張ってきます。 - ストレスはたまっていませんか?
ストレスが原因で、お腹の張りを感じることもあります。張りには精神的な影響もあります。 - 便はきちんと出ていますか?
便秘がひどくなると、お腹の張りを感じやすくなります。 - 胎動がはげしくありませんか?
妊娠20週前後でまだ胎動に慣れていないときは、子宮収縮と勘違いすることもあるでしょう。30週前後からは胎動の刺激で張ってくることもあります。いずれも特に心配はありません。 - 乳首のマッサージをしましたか?
乳首を刺激ずると、子宮収縮を促すホルモンが分泌されます。 - セックスでオーガスムを感じましたか?
オーガスムを感じたとき、おなかがかたくなったり、張りを感じることがあります。 - その他
原因が見当たらなくても張ってくることもあります
お腹が張ったときの対処法
- 家では
しばらく横になって様子をみましょう。 - 仕事場では
横になるのが無理なようなら、トイレに行って便座にしぱらく座って休んでみてください。 - 電車内では
次の駅で降り、ホームのペンチで休憩を。
妊娠中はすいてる時間、すいた車両に乗るように心がけましょう。 - 自動車運転中は
神経を集中させているときにあまり張りは感じないものですが、それでも感じたときは、すぐに車を止めて休んでください。
張りどめの薬で動悸が激しくなることがあります
「張りがある」と、病院を受診すると、赤ちゃんは元気か。異常な子宮収縮ではないか。子宮口は開いてきていないか。子宮頸管は短くなっていないか。炎症はないか。などがチェックされます。こうした異常がなく、早産のリスクが高くなければ、まず心配ないので様子を見ましょうということになります。その時、念のため、張り止めが処方されることもあります。ただ、張り止めで動悸が激しくなる場合があります。妊娠や赤ちゃんには影響はありませんが、この場合は継続して服用しなければいけないわけでありません。本来、張り止めで早産を予防することはできないからです。薬で陣痛をとめることはできません。張り止めは、どちらかといえば、日常生活や仕事を円滑に進めるために、処方されています。それで、動悸など不快な副作用が出る場合、服用する意味があまりないからです。ただし、その時は早めに医師に相談するようにしてください。
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