個人情報入手
個人情報はラクに入手?
(どうだ。もう女の自宅もフルネームも突き止めた。なんて簡単なんだ。拍子抜けするとはこのことだ)と、軽く肩をすくめた。(ラウンド2はあっさりダウンを奪ったってところかな)と薄笑いを浮かべた。1階の通路を見渡すと2軒ずつ対称形のつくりなのだろう。101と102、103と104とは玄関が近い。そして105号だけ玄関が奥にある。2階も同様だろう。これは男にとってはプラスの要件だった。
住まいと名前をゲットしたので、かなり女のことを知った気分になれた。顔もスタイルも名前も住所も知っていればかなり親しい間柄だろう。後は勤務先だが、それは朝、女を尾行すればすぐに知れるだろう。まあそれはどうでもいい。いつか、夜に女を尾行して先回りして建物の陰にいて、女が階段を上がっていったら自分もそっと上がろう。スニーカータイプの靴で体重をかけなければ足音は聞こえないはずだ。
そして、女が自宅の鍵を開けた瞬間、走りよって鍵を掛けられる前にドアを引く。そうだ。マスクをしたほうがいいかもしれない。驚愕する女の顔。そして言うんだ。
「おとなしくしろっ! 名前は分かっているんだ。誰にも知られたくなければ黙ってろ」
後ろ手に玄関ドアの鍵をかけて、部屋に押し入る。そして、強姦……。
男はうっとりと想像した。AVやら成年コミック、あるいはネット上で見ていた“強姦”は、絵空事ではなく、自分で実現できるのだ。そう考えただけで激しい欲望にわめき出したいような興奮を覚えていた。女がいつ襲われるのか、それは男が決めることだった。決定権を持つこと、女の運命を支配するのは自分だと思うと、権力者が権力を手放さない理由が分かるような気がした。
女の運命は自分が握っているのだ。自分がその気になれば、いつでも女を蹂躙することができるのだと思うと、笑いがこみ上げてきそうだった(各駅ごとに女を用意してもいいな。秘密のコレクションだ。ラウンド3はおれ次第ってことだ)。餌食となる女は供給不足になることはない。都心部から住宅街や郊外へと数え切れない女たちが帰宅するのだから……。
4p.女の自己防衛ポイントチェック