スポーツとの出会い、きっかけは人それぞれ |
また、連戦、連投の末の金メダルで日本中を沸かせたソフトボール・ピッチャーの上野由岐子さんがソフトボールを始めたのは小学校3年生のとき。以来ずっとソフトボールを続け、それ以外のスポーツには目もくれなかったそう。自分が面白い!と思って始めた競技なら、迷いなく続けられるのです。
中学の部活からでも遅くない!
中学校の部活動から競技を始めて、メダリストになった選手もいます。例えば、柔道女子73キロ以上級の塚田真希選手。柔道を始めたのは中学に入ってからで、それもただ「体が大きいから」と先輩に誘われたのがきっかけ。「中学の部活で始め、遊びの一環のようなものでした。今思うと、もっとマジメに練習しておけばよかったと思います。中学3年生で全国大会に出たいと思っていたけれど、結局、実力がなくて出られませんでしたし……」(JOCインタビュー)。幼稚園児の頃には「扁桃腺をよく腫らすなど、体は決して強くはなかった」(サンケイスポーツ)のだそう。それが今やメダリスト! 本当に才能があれば、部活から始めても遅くない、ということでしょう。親の願い、子どもの生き方
今回のオリンピックでは、特に、親子2代にわたる「親子アスリート」が注目されたように思います。前回書いた、体操の内村航平選手、レスリングの吉田沙保里選手のほか、同じくレスリングの浜口京子選手、ハンマー投げの室伏広治選手、女子重量上げ48kg級の三宅宏美選手、フェンシングの太田雄貴選手など、親子2代のアスリートが続々。フェンシングの太田選手は元フェンシング選手の父親に子どもの時から英才教育を受け、なんと修学旅行にまでサーベルを持って行ったのだとか。そんな風に英才教育を施さないと、金メダルは取れないの……!?と思うものですが、英才教育の結果が全員成功し、メダルにつながるとは限りません。最初は楽しくても、ある程度の年齢になれば、子どもの中に自我が芽生え、親の言うことに素直に従わなくなる場合もあります。
金メダルを取った吉田沙保里選手でさえ、「家にレスリング道場がありましたし、兄2人もレスリングをやっていたので、物心つく前からレスリングを始め、最初は好きな練習だけをしていました。それでもレスリングをやめたいと思ったことが何度もありました。学校が終ると友達はみんな遊んでいます。“遊ぼう”と誘われても自分は5時に帰って、夕食をとってから練習。そんなことが繰り返されるうちに“なぜ、みんなは遊んでいるのに、自分は5時に帰って練習しなくちゃいけないのか、何のために練習をしているのか”と思うと家に帰りたくなくなることも小学校高学年の頃にはありました。でも父はとても厳しい人だったので、帰らないと当然帰る場所がなくなっちゃうとか、小さいなりにいろんなことを考えていました」(JOCインタビュー)と、子ども時代に直面した悩みを率直に語っています。