主催者bekkiさんのお話:「預けることのためらい」を超えて
遊具がたくさんある児童センターでは、子どもも退屈せずに楽しく遊べます。 |
「身近に頼れる親族もいなかったので、夫婦2人で力を合わせて子どもを育てていこう。出産当初はそう考えていたんです。でも、実際には夫の仕事が忙しくなってしまい、私ひとりで子育てをするような状況に、息苦しさを感じるようになりました。」
「ほんの少しでいいから誰かに子どもをみてもらって、ほっと一息つきたい。」そんな願いを持つようになったbekkiさんですが、「預けることのためらい」に苦しんだといいます。
「“子育て”という新たなチャレンジに挑もう、と思って妊娠したのに、子どもを預けるなんて・・・。じゃあ、何のために子どもを産んだのか。ましてや自分がラクしたいがために、預けるなんて・・・(bekkiさんのサイトより)。」
この言葉は、現在専業主婦で子どもを育てている多くの母親が感じている気持ちではないでしょうか。産むことを選べるこの時代にあえて産むのだから、できる限り自分の手できちんと育てたい。
そんな思いと現実の間で悩んだbekkiさんは、「そんなに気にしなくても大丈夫よ。うちはよく実家に預けているわよ。」という他のお母さんの言葉でほっとし、「預けることのためらい」から自由になっていったと言います。
いろんな「出会い」があり、「あいあい」立ち上げへ
その後bekkiさんは、たまに民間の託児施設を利用するようになりました。しかし、民間の託児施設はお金がかかり過ぎる。また、地域の子育て講座などで「育児を社会化することの必要性」について学ぶ機会もあり、何かいい方法はないものかと考えるようになりました。そうした中、新たに出会った書籍小出まみ氏『地域から生まれる支えあいの子育て』で「プレイグループ」のことを知ったのです。「子育て中に必要なのは、これだ!」と思ったbekkiさんは準備を始め、サポーターやメンバーを集めて2004年の春に「あいあい」を立ち上げました。
「最初は“子育てに大変な親にフリーな時間を与える”ということが最大の目的でしたが、だんだん親自身の“育てる力”を育てる効果があることが、実感として感じられるようになってきました。特に、“初めての子育てで大変”“自分の子どもだけで精一杯”という人にこそ、おすすめですね。」とbekkiさんは語ります。
取材当日に「預かる側」を担当していたメンバーのTさんもこんなふうに言います。「もともと、子どもの相手はそんなに好きではなかったんです。でも、“あいあい”の預かりあいに参加するようになって、子どもたちと関わることが楽しい!と思うようになってきました。子どもとずっと2人きりだったときに比べて、生活にメリハリも出てきて元気になった気もします。自分の変化に驚いているところです(笑)。」
「自分たちもやってみたい!」という方へメッセージ
「預かりあい・あいあい」は東京・品川での活動ですが、「プレイグループ」自体は、やる気と仲間と場所があれば全国どこででも始められそうです。bekkiさん、そんな人たちへアドバイスをいただけませんか?「私たちの場合は、全くのゼロから初めて全てが手探りでした。もともとのやり方はカナダのプレイグループを参考にしたものですが、状況は地域や人によって変わってくると思うので、マニュアルやモデルケースは必要ないのでは?というのが私の考えです。間違えることは無駄ではないので、やりながら考えていき、やってみてダメだったら変えていく・・・という方法がいちばん現実的だと思います。
忘れてはいけないのは、“来てくれた人ひとりひとりを大切にする”ということだと思っています。人というのは“○人集まった”という数字ではなくて、ひとりひとりが尊重されるべき存在だと思うので。その人たちが楽しいと思うこと、心地いいと感じることを大事にしていきたい、というのが理想です。そうしたひとりひとりの実情に合わせて運営していくことが大切だと考えています。」
もちろん、新たに始めたい人にとっては、「あいあい」の実績は大いに参考になるはず。こうした事例を参考にした「私たちのプレイグループ」が各地で広まっていけば、子育ての期間がもっと充実した楽しいものになるのではないでしょうか。
「プレイグループとは?」については、こちらから
■取材協力
あいあい*品川で楽しく子育て★預かりあい★
■参考文献
小出まみ 『地域から生まれる支えあいの子育て―ふらっと子連れでDrop‐in!』 ひとなる書房 1999年
■関連サイト
プレイグループ、始めてみない?【幼稚園・保育園】
専業ママでも子どもを預けたい!【幼稚園・保育園】
保育園が増えれば子どもを産む?【幼稚園・保育園】