「60歳~64歳が対象の「高年齢雇用継続給付」とは?」
<目次>
60歳以降も働く人のための「高年齢雇用継続給付」のメリット・デメリット
老齢厚生年金の支給開始年齢を60歳から65歳まで段階的に引き上げることによる公的年金の空白期間への対応として、国は平成25年4月の改正「高年齢者雇用安定法」で企業に「希望者の原則65歳までの雇用継続」を義務付けました。【ガイドの大沼さんが高年齢雇用継続給付について音声・動画でわかりやすく解説します】
【高年齢再就職給付金についてはコチラをご覧ください】
ただ、60歳以降も働き続ける際の賃金は、60歳時賃金の25~70%程度に低下するケースが多く、雇用保険では低下した賃金の一部を補う「高年齢雇用継続給付」を行っています。
高年齢雇用継続給付の受給要件
高年齢雇用継続給付を受給するには、次の要件を満たす必要があります。- 60歳以上65歳未満、かつ雇用保険の一般被保険者であること
- 雇用保険の被保険者期間が5年以上あること
(基本手当等を受給したことがある場合は、基本手当の受け取り終了から5年以上経っていること) - 60歳以降の賃金が、60歳時点の75%未満であること
- 育児休業給付や介護休業給付の支給対象となっていないこと
高年齢雇用継続基本給付金は65歳まで支給
高年齢雇用継続基本給付金は、基本手当を受給しないで継続して働く人に支給されます。支給期間は、60歳になった月から65歳になった月まで。支給額は支給対象月の賃金の低下率によって異なり、支給上限・下限額は次の通りです。原則毎年8月1日に改定されます。- 支給上限額36万584円。支給対象月の賃金がこれ以上の場合は支給されない。支給対象月の賃金と支給額の合計が36万584円を超える場合は、「36万584円-賃金」が支給される。
- 支給下限額2061円。支給額が2061円を超えない場合には支給されない。
高年齢再就職給付金は最長2年支給
雇用保険の基本手当を受給している60歳以上65歳未満の人が、再就職して賃金が退職前の75%未満に下がった場合、「高年齢再就職給付金」が支給されます。受給要件は、前出の高年齢雇用継続基本給付金の受給要件に次の2つが加わります。- 再就職手当、または早期再就職支援金を受給していないこと
- 1年を超えて引き続き雇用されることが確実であること
- 基本手当の支給残日数100日以上200日未満:1年間を上限に65歳到達まで
- 基本手当の支給残日数200日以上:2年間を上限に65歳到達まで
在職老齢年金との併給調整により、年金が減る
高年齢雇用継続給付を受給すると、在職老齢年金との併給調整が行われ、年金の一部が減額されます。減額される年金額は賃金の低下率によって異なります。減額される金額など詳しくは年金事務所等で確認してください。2025年度に給付率が縮小
国は2021年4月の改正「高年齢者雇用安定法」で「70歳までの就業確保措置を講じる努力義務」を企業に課しました。足元の労働者不足もあり、「65歳までの雇用と一定の賃金の確保は可能」として高年齢雇用続給付の縮小・廃止を決めました。まず、2025年度から給付率を「賃金の原則15%→10%」に縮小します(2025年3月31日までに60歳になる人は現行通り)。そして30年度以降に廃止する予定です。在宅勤務による仕事の効率化や技術革新などにより、中高年のスキル不足や余剰感が浮かびあがってきました。国が考えるように高齢者の働く場と賃金が確保されるのか、注視しましょう。
【関連記事】