野菜を「育ち」で選ぶ時代に
みなさんの野菜を選ぶ基準は何ですか? 外見、値段、ブランド、栄養など、選び方は人それぞれだと思いますが、野菜の育ち(栽培方法・場所)を挙げる人が増えています。野菜の育ちは、野菜の安心・安全に通じるものがあります。減農薬で安全な野菜を食べたい、ふぞろいでもいいから生産者の顔が見える野菜を食べたい、環境に優しい有機野菜を選びたい。そこにはそれぞれの安心・安全に対する考え方があることでしょう。どんな野菜が安心・安全なのかという決まりはありません。そんな中、情報や流行に振り回されることなく、自分で納得できることは何なのかということを、見極めて選ぶことが大切になってきています。
有機野菜は環境に優しい野菜
一般的な野菜は、農薬や化学肥料を使って作られているため、残留農薬などを心配する声がありますね。農薬は使わない方が安全で安心と考えられていますが、収穫量を安定させ、安いコストで作るために必要とされています。そこで、農薬は厳しい毒性試験が行われ、健康に悪影響を与えることのない量と質が定められています。それでも、できることならもっと安全な野菜を手に入れたいと思われる方もいるのでは。今はスーパーや直売所で、有機、オーガニック、減農薬、無農薬の野菜が手に入るようになりました。ではこれらの野菜にはどんな違いがあるのでしょうか。
認定された有機野菜についている「有機JAS」マーク |
有機野菜とは、堆肥(たいひ)などで土づくりを行い、種まき又は植付けの前2年以上、禁止された農薬や化学肥料を使用していない田畑で栽培された野菜のことで、状況によってリスト上にある農薬の使用が認められています。そして厳しい審査に合格した畑で作られる野菜だけが有機野菜として認められ、「有機JASマーク」をつけることができます。
手間と時間がかかる上、検査にかかる費用や違反した際の罰則も厳しいこともあり、国内の流通量は極めて少ないのが現状です。値段が高いですが、野菜本来の濃い味を楽しめるとの評判も高く、残留農薬の心配が少ないというメリットがあります。環境にも人にも優しいので、今後ますますニーズが高まることでしょう。
■特別栽培(無農薬栽培・減農薬栽培)
「特別栽培」という表示がつけられている無農薬・減農薬栽培の野菜は、農水省のガイドラインで、慣行農業(化学肥料や農薬を使う、一般的な農業のこと)で使用する農薬使用量を半分以下にしたもの、とされています。特別栽培の野菜は、認定制度等が定められておらず、ガイドラインでの基準もはっきりしておらず、農家の判断に任せられています。無農薬・減農薬だから安全とは言い切れないのが現状です。
地産地消とは
素性の分かる野菜を食べる安心感はいかが? |
なんだか難しく聞こえますね。では、生産の現場と消費の現場が近いので、どこよりも新鮮でおいしい野菜が安く手に入るということならどうでしょう。身近に作り手の方々がいるので、作られている野菜を見聞きできる安心感があるというのはどうでしょう。地産地消とは、とても身近なところにあるものだと思えばよいのです。
こうしたことから、地方の直売所などを中心に、そこでしか味わえない伝統野菜や伝統食が見直されており、地産地消が盛り上がっています。これからは地元産で素性の分かる野菜を選択する人が増えていくのではないでしょうか。