そこで、給与の意義ですが、実は昭和43年に判例が出てます。皆さんは知っていましたか?
それによると、【給与所得とは・・・報酬と対価の関係に立つ労務の提供が、自己の危険と計算とによらず、他人の指揮命令に服してなされる点に、事業所得との本質的な差異がある。・・・】とされました。
つまり、この判例からみるとサラリーマンとは就業規則に従って、上司の指揮命令系統のもとに働く人となり、一方、フリーランスとは仕事の期限や品質を守れば、特に就業時間や、他人からの指図を受けることがない人となります。
引き続き判例では【対価を得て継続的に行う事業とは、自己の危険と計算において独立的に営まれる業務で、営利性、有償性を有し、かつ、反復継続して遂行する意思と社会的地位とが客観的に認められるものをいうと解される。】とされました。
【自己の危険と計算において】とは、たとえば、サラリーマンは通勤のための費用は会社から支給されますが、フリーランスの人は、自分で支出しなければいけません。また、電話代やガソリン代などの諸経費もサラリーマンは会社が認めてくれれば精算できますが、フリーランスの人は必要経費としてカウントできるだけで、自分のふところから出ていくことには変わりありません。また、これが収入を得るための必要経費になるのかならないのか、あるいは、収入との対応関係があるのかないのかという、経費性の問題を個別に判断していくことが必要になります。
ですので、領収書さえあれば経費として認められるということは、(実務上の取扱はさまざまな基準がありますが)一般的にはありえません。
逆に領収書がなくても、他の資料から収入との対応関係が立証でき、経費算入されている「領収書の取れない経費」、も社会通年上妥当であれば、税務署もとやかく言わないでしょう。
【営利性、有償性を有し】とは、お金をもらう以上製品やサービスに対して責任を負うということです。たとえば、あるパソコンソフトに不具合が生じたとします。そのソフトの開発を請け負った会社があれば、その開発に携わった人が特定できたとしても、一般的に会社として責任を負わなければいけませんよね。でも、そのソフトの設計自体を外部に委託していれば、実際責任を負わなくてはいけないのはその設計を委託された事業者ということになります。