年金/専業主婦の年金(第三号被保険者)

女性の敵!?脱退手当金って何?(2ページ目)

加入記録の照会をした女性からよくお聞きするのが「昔働いていたのに、その部分の加入期間既に精算しているって言われました」という内容。働いていた期間を精算するって一体何?

和田 雅彦

執筆者:和田 雅彦

年金ガイド

  • Comment Page Icon

会社に言われて手続きしたのに!

画像の代替テキスト
厚生年金だけでなく厚生年金基金にも脱退一時金という払い戻し制度があるので、混同に注意が必要
加入確認して、脱退手当金を受け取ったことがわかった方は、「会社の人に半ば強制的に言われて手続きしたんです!」と憤慨される方もいらっしゃいます。また、「脱退手当金として受け取った金額を返すから、年金として受け取りたい!」っておっしゃる方もいらっしゃいます。皆さん多かれ少なかれ「後悔」の気持ちをもたれているようですね。

脱退手当金の金額は、一時金で、しかもその当時掛けてきた保険料を返してもらう程度の金額です。その期間を年金として受け取れれば、毎年受け取れることができたわけです。結果として精算しないで年金として受け取った方が得なケースがほとんどですから、後悔される気持ちはよくわかります。

それでは、なぜ年金として貰う選択をせず、一時金で貰ってしまったのでしょうか?

その当時はごく当たり前の選択だった

現在の年金制度は、厚生年金の期間、国民年金の期間、共済年金の期間を合計して25年あれば、25年間分の国民年金と、加入期間分の厚生年金、共済年金を受け取れることになっています。会社勤めの後、専業主婦となっても国民年金に加入しますので、厚生年金の期間は無駄になることはありません。

しかし、厚生年金が創設された当時は、厚生年金の加入期間が原則20年以上なければ年金を受け取ることが出来ませんでした。ですから、例えば5年間だけ会社勤めをして、専業主婦になる方は、今後会社員として再就職をするなどしなければ、その5年間が「掛け捨て」になる危険性が高いわけです。

国民年金が出来た昭和36年以降は国民年金の期間を合わせて20年で良くなったのですが、その当時専業主婦は国民年金に任意加入でした。年金を受け取る要件を満たすために、何十年と保険料を納め続けなければなりません。また、結婚にあたり何かと物入りの時期でもあります。

掛け捨ての危険性があって、しかも物入りの時期に精算して一時金を貰うという選択は、その当時ある意味「当たり前の選択」だったわけです。ですから、決してその当時の会社の担当者を恨まないでくださいね(笑)。

精算期間のチェックも必要

現在も脱退手当金を受けた期間について、年金の額には反映させないものの、年金を受け取るための期間には入れることができる場合があります(カラ期間)ので、全く無駄になっているわけではありません。

また、脱退手当金を受け取っていたとしても、自分のすべての厚生年金期間を精算したとは限りません。某社会保険事務所で、精算していない厚生年金期間があるにもかかわらず、全て精算されたことにして年金を支払っていた、なんてケースもありますので、転職経験があったり、再就職したりした場合などは注意が必要ですね。

年金制度はどんどん変わりますので、その時点の選択が将来にわたってベストな選択で有り続けるかどうかは誰にもわかりません。その象徴的な問題がこの脱退手当金なのかもしれません。


【関連記事】

年金を貰うために「カラ期間」をチェック!
年金未納の主婦を救済する運用3号制度のゆくえ
女性が知っておきたい、年金「1年の壁」
妻の年金保険料、夫の職業でこんなに格差が!
【編集部からのお知らせ】
・「家計」について、アンケート(2024/12/31まで)を実施中です!

※抽選で30名にAmazonギフト券1000円分プレゼント
※謝礼付きの限定アンケートやモニター企画に参加が可能になります
  • 前のページへ
  • 1
  • 2
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます