老後の不安の解消法は?
2人で老後のライフプラン、ファイナンシャルプランを立てることが、老後の不安を解消するカギ |
■老後のライフプランとファイナンシャルプランの基本
○老後の支出を予測する
最初に、老後に出て行くお金を計算します。その手始めとして、老後の毎月の生活費はいくら必要なのかを考える必要があります。
・統計データを見ると
今回の「家計の金融行動に関する世論調査(平成19年)」で、「老後の生活費として、毎月最低どのくらい必要か」という質問に対する回答の平均額は27万円でした。
60歳以上で現役を引退した世帯(高齢無職世帯)の実際の家計状況はどうなっているのでしょうか? 総務省統計局の「家計調査(平成18年)」によると、消費支出は約25万円、これに社会保険料・税金等3万円を加えると約28万円になります。偶然にも2つの調査結果は、ほぼ一致しました。
・統計データを見なくても
現役と老後を境に、生活がガラリと変わるわけではありませんので、老後に必要な生活費は、今の家計状況と比較して、おおよその予想はできるはずです。予想することが難しいのは、「老後をいかに楽しんで過ごすか?」といった余暇などのプラス・アルファの部分です。
・2人で過ごす期間、1人で過ごす期間に分けて支出を考える
夫婦2人で一生一緒に過ごせれば幸せだけれども、残念なことに、どちらか一方は先に亡くなります。例えば、夫婦の年齢が同じで、60歳時点の男性の平均余命は22.41年(82.41歳)、女性の平均余命は27.92年(87.92歳)なので、一緒に過ごす期間は約22.5年、妻が一人で過ごす期間は約5.5年になります(厚生労働省「平成18年簡易生命表」より)。
仮に夫婦2人で過ごす時の生活費を30万円、妻が一人で過ごす時の生活費を25万円とした場合、
30万円×12ヶ月×22.5年+23万円×12ヶ月×5.5年 = 9,618万円 |
○老後の収入を予測する
次に老後に入ってくるお金を計算します。
・退職金
退職金制度は、勤めている会社によって千差万別です。退職時に一時金で貰ったり、年金方式で貰う会社もあります。金額も含めて社内規程を調べたり、会社の総務部門に問い合わせるなど、確認しましょう。統計データで大まかな金額を調べたい場合は、「賃金事情等総合調査(退職金、年金及び定年制事情調査)」(厚生労働省)を見ると、業種や勤続年数ごとの退職金の平均額がわかります。
・公的年金の受給額
まずは、自分がどの公的年金に加入しているか確認しましょう。自営業者の場合は国民年金、会社員であれば厚生年金、公務員であれば共済年金に加入しています。国民年金は、加入期間によって金額が決まり、厚生年金や共済年金の場合は、勤続年数と平均標準報酬額などによって決まります。平均標準報酬額は耳慣れない用語かもしれませんが、働いている期間(厚生年金加入期間)の給料の平均と概ね一致します。おおよその年金額を計算するには、「年金シミュレーション」(知るぽると)がオススメです。老齢基礎年金や厚生年金などの年金の、おおよその見込み額が簡単に計算できます。公的年金の受給額を計算する際は、ご夫婦2人分を計算するのを忘れないで下さい。
例えば、ある男性の厚生年金の受給見込み額を200万円とします。65歳から82歳まで17年間貰えるとすると、公的年金の受給額の合計は3,400万円となります。
・私的年金・生命保険の受給額
個人年金や終身保険(一生涯続く死亡保障)など、自分の加入している保険を再確認して計算してみましょう。
夫婦2人の退職金と公的年金、私的年金を合計したものが、老後に入ってくるお金です。
例えば、退職一時金2,000万円、公的年金6,500万円、私的年金・生命保険で300万円とします。2人の老後に入ってくるお金は8,800万円と計算されます。
○老後の収入?支出の不足分は準備しなければいけない資金
老後までに準備しなければいけない資金は、老後の収入から老後の支出を差し引いたマイナスの部分です。60歳以降、老後の支出を9,618万円として老後の収入を8,800万円とした場合、準備しなければならいお金は818万円と計算されます。
共働きの場合、夫婦で厚生年金の加入期間が長いと、2人の公的年金は相当な金額になります。もちろん、年金制度が今の状態で維持できればという前提になりますが、闇雲に老後について不安に思うことはないと思います。
※共働き夫婦の年金額については、コラム「いくら貰えるの!? 共働き夫婦の年金」をご参照ください。