社会人2年目に手取りが減る理由は?住民税はいつから引かれる?
毎年、4~5月あたりに注目される初任給ですが、もうひとつ忘れてはいけないことがあります。それは「入社2年目」の給与の手取り額です。実は、入社2年目に手取り額が減るのです。 その理由は「住民税」です。【社会人2年目から給与天引きされる「住民税」について動画で解説します】
●目次
住民税は1年遅れでやってくる
住民税は6月から天引きされ始める
住民税の税率は一律10%
独身・年収300万円で住民税は12万円
入社2年目だと住民税は月7000円程度
住民税は1年遅れでやってくる
住民税には1年の所得(1月から12月まで)に対して支払う「所得割」があります。この住民税の所得割は、前年の所得に対して支払います。つまり、住民税は前年の1月から12月の所得に対してかかってくる税金です。それに対して「所得税」は、その年に課税は終わります。1月から12月の所得にかかる所得税をその年のうちに払っているのですね。所得税は、毎月の給与から天引きで源泉徴収され、12月の年末調整で精算されます。年末調整で、年間の所得や控除などが考慮され所得税が決まります(一部、翌年以降に確定申告をする場合もあります)。
ある年の所得に対して、所得税はその年に、住民税は翌年度にかかってくるのですね。所得税は国への税金で国税庁が管理しています。住民税は県や市町村の税金。まずは国が所得を確認して、その所得データを市町村が利用しているといったところでしょうか。
住民税は6月から天引きされ始める
社会人1年目は、前年に所得がないため住民税はかかりません。しかし、社会人2年目になると前年の所得(社会人になった4月から12月まで)に対して、住民税がかかってくるのです。社会人1年目にはかからなかった税金が、2年目からはかかってくるということです。この住民税、いつから支払うことになるのでしょうか? 社会人は給与天引きで住民税を支払うのが一般的です(特別徴収といいます)。この住民税の天引きは6月からはじまります。6月から翌年5月までの12カ月で年間の住民税を支払うというわけです。
住民税の仕組みはわかりましたが、住民税ってどれくらいの負担なのでしょうか?
住民税の税率は一律10%
前年の所得に対して、6月から給与天引きされる住民税の所得割。税額は、以下の計算式で決まります。税額=(前年の総所得金額等-所得控除額)×税率(10%)-税額控除額
「前年の総所得金額」とは、給与や利子、事業などの所得から必要経費などを差し引いたものです。給与所得の場合は、必要経費が認められない代わりに、所得に応じて給与所得控除があります。
「所得控除額」は、扶養控除や生命保険料控除などのことです。所得税と同じ考え方ですね。
そして、税率は一律10%と決められています。「地方にできることは地方に」というスローガンで平成19年に行われた「税源移譲」で、住民税が一律10%になりました。
(※) 平成26年6月から10年間、住民税にも復興特別税が上乗せされます。
独身・年収300万円で住民税は12万円
実際の住民税の負担はどれくらいになるのでしょうか? 給与所得者のモデルケースを例にご紹介します。独身者の場合、給与収入が300万円で住民税が12万6500円です。給与収入が500万円の場合住民税が26万500円、700万円だと住民税は40万4500円となっています。
夫婦と子ども2人(うち1人は19歳以上23歳未満)の場合、年収300万円で住民税が9000円、年収500万円で住民税13万5500円、700万円で29万3500円となっています(これらはモデルケースでの試算です。実際の税額は個々に計算することになり、税額は変わります)。
入社2年目だと住民税は月7000円程度
入社2年目ではじめて住民税が天引きされるとき、何円ぐらい給与から天引きされるのでしょうか? 「学歴・業種別の初任給」の記事によると、大学卒の初任給はおよそ20万円です。月に20万円とすると4月から12月の9カ月で180万円。ボーナスは夏10万円、冬50万円支給されたとすると(ボーナス支給については会社や業界で大差があります)、年収は240万円となります。
年収240万円・独身の場合、住民税を計算してみるとおよそ8万3000円。毎月の天引きは6900円程度になりそうです。これらの計算は、収入はもちろん扶養家族、支払っている生命保険料などでも変わってきます。
いずれにしても、入社2年目の6月からは、住民税の給与天引きが7000円程度あることを覚悟しておいたほうがよさそうですね。
社会人になる前にアルバイト収入がある場合は?
社会人になる前の1月から3月のバイト収入などがある場合は、4月から12月の就職先の給与に加算されて翌年の住民税として計算がされます。社会人1年目の時の年末調整で、入社前の1月から3月のバイト代の源泉徴収票を提出することになります。源泉徴収票が手元にない場合は、バイト先に依頼して再発行してもらいます。
バイト代から所得税を払っていなかった等の理由で源泉徴収票が無い場合は、確定申告で1月から3月のバイト代を申告することになります。
このような手続きを経て、1月から3月のバイト代を含めた所得税が計算されます。このデータをもとに翌年住民税が計算されますので、社会人になる前の1月から3月のバイト収入も含まれた年収で住民税が決まります。
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