というのもボーナス収入は景気の影響を受けるうえ、ボーナス払いの返済月は返済額が多額になるため、万が一返済が遅れた場合は、正常な返済に追いつくのが大変だからです。
いまのような不安定な経済環境だからこそ、支給されるかどうかもわからないボーナスに返済を委ねることよりも、毎月生活費の中から返済額を工面していくことが賢い返済方法と言えます。もしボーナス返済を利用しなければ毎月の返済が不可能という物件ならば、いっそのこと検討し直すぐらいの勇気も必要かもしれません。
ボーナス減額・カットには条件変更を
ボーナス返済を利用しているのに、ボーナスが大幅カットされて返済がキツイという場合は、条件変更で問題を解決できます。変更は、“ボーナス返済を取りやめて毎月返済のみに変更する”方法と“ボーナス返済の割合を減らして毎月返済の割合を増やす”方法の2つがあります。条件変更には、5,000円程度の手数料がかかりますので金融機関に必ず確認しましょう。また、ボーナス返済を取りやめたり減額すれば、当然、毎月の返済額が増加しますから、条件変更の手続きの前に家計の状況を十分チェックすることを忘れないでください。
支給されたら、貯めて「繰上返済」に!
さて、ボーナスをあてにするなといっても、せっかく支給されたならばうまく利用したいもの。ボーナス併用返済を利用しない資金計画なら、ボーナスを貯めて繰上返済にあてることをおすすめします。繰上返済を簡単に説明すると、将来返済すべき分を先にまとめて支払うというもので、「借金」を早く返済し終えるだけでなく、支払うはずだった金利の一部を支払わずにすむというお得な返済テクニックのひとつです。
繰上返済の詳しいしくみはまたの機会にご説明しますが、100万円の繰上返済で270万円以上のお得になる場合もあります(条件:借入額1000万円、年利4.5%、35年返済の場合)。
住宅ローンを返済するという視点で考えた場合、せっかく支給されたボーナスで余剰資金が出来た場合は、繰上返済に回しローンを早く返済し終わることが賢い選択と言えるでしょう。
ただし、金融機関によっては、1回の繰上返済額の下限が決まっていたり、金額によって手数料が違ったりとだいぶ差があります。また、手数料は繰上返済の都度かかりますので、ある程度まとまった金額を返すほうがおトクといえます。証券化ローンやソニー銀行などでは、繰上返済の手数料がかかりません。金融機関を選ぶ際の大きなポイントともいえるので、借り入れのときに十分調べる項目のひとつともいえます。
やりすぎは損のもと!?
繰上返済がお得だからといって、ボーナス収入や貯蓄のすべてを繰上返済にあてることは好ましくありません。教育費やいざというときの生活費を確保した上で、「いつまでにいくら貯める」という目標をもち、繰上返済にあてていくのが賢い方法といえます。また、住宅ローン減税を受ける場合、「返済期間10年以上」というのが要件にあります。借入当初は10年以上の返済期間でも、繰上返済で期間を短縮し過ぎ、10年を下回った場合はその時点でローン減税は受けられなくなりますので、注意しましょう。