住宅ローンの借入/住宅ローンの申し込みと審査

【住宅ローン審査基準:物件編】その家は審査を通る?

住宅ローン審査基準の第2弾。購入する住宅についても審査があり、収入が十分にあっても、必ずしも借入れできるわけではありません。物件を選ぶ際に注意しなくてはいけない点はどのようなことでしょうか?

高田 晶子

執筆者:高田 晶子

住宅ローンガイド

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物件そのものも審査の対象

イラスト
住宅ローンを借入れするには、住宅の選択にも注意が必要
住宅ローンの審査は借入れする本人はもちろん、購入する物件についても住宅ローン審査の対象となります。このことから、審査は、購入する物件が決定してからになります。購入前に、借入れできるかどうか打診することは可能ですが、それはあくまでも収入面などについてのみ。購入する物件によっては、借入れできないこともあります。

物件の条件は、本人が住むものであることが原則です。セカンドハウスや、家族が居住する住宅についても住宅ローンの対象としている場合もありますが、一部の金融機関に限られています。また、土地だけの購入には利用できません。注文住宅の建築などで、まずは土地から購入する場合には、その土地上に居住する住宅を建築することを条件に、住宅ローンの借入れが可能です。

その他、主な物件審査の内容は以下の通りです。

  1. 担保評価額……物件や土地の査定
  2. 権利関係……物件や土地に設定された権利や権利者の確認
  3. 法規制……建築基準法や都市計画法に抵触していないか

担保評価額とは売却する場合の金額の目安

住宅ローンを借入れすると、金融機関は対象となる土地と建物に抵当権を設定します。万一、返済が滞った場合には、銀行(または保証会社)は抵当権を実行し、対象の土地と建物を処分することによって資金を回収するのです。

担保評価とは、このような場合にいくらぐらいで売れるのかという金額で、金融機関が査定の上判断します。通常、借入れ可能額は、この担保評価額を上限としていますが、住宅ローンの借り換えの場合には、本人の返済能力によっては担保評価額の2~3倍の借入れも可能としている金融機関もあります。物件タイプごとの担保評価額の目安は次のとおりです。
  • 新築の分譲物件の場合
    新築分譲マンションや、新築建売住宅などは、購入価額を担保評価額としていることが多いようです。このことから、購入価額の100%の金額までの借入れ可能です。

  • 建物の建築の場合
    一般的に、建築請負契約の価額を担保評価額としています。このことから、建築費の100%の金額までの借入れが可能です。

  • 中古住宅の場合
    購入価額を担保評価額としていることが多いようです。ただし、一戸建てで、建物が古い場合には、土地だけの評価額となることもあり、購入価額よりも評価額が低い場合には、全額の借入れはできないこともあります。

なお、フラット35については、借入れできるのは、購入価額または建築価額の90%までとなっています。

借地権や定期借地権は借入れが難しいことも

担保となる物件は、借入れする本人が所有するものであることが原則です。例外として、次のようなケースが考えられます。
  • 夫婦や親子で共有、家族が所有する土地の場合
    夫婦や親子で共有で購入したが、借入れするのは夫のみ、子のみという場合もあります。このような場合には、借入れをしない共有者は、担保提供者として、抵当権を設定することに同意が必要となり、通常連帯保証人になります。また、親の土地の上に子が建物を建築するというケースもよく見られますが、この場合にも、親が所有する土地に抵当権を設定することが、借入れの要件となります。

  • 借地権や定期借地権付の住宅の場合
    借地権付の住宅の場合、土地上には抵当権が設定できないことや、担保評価額が低くなることから、取り扱いはしない、と明言している金融機関もあり、一般的に借入れが難しくなります。個別に金融機関に相談してみましょう。また、定期借地権付住宅も、借入れは難しいでしょう。ただし、新規分譲マンションの場合には、通常提携ローンがあり、借入れも可能です。

  • 保留地の場合
    土地区画整理事業の保留地を購入する場合、金融機関によっては取扱いをしないことがあります。この場合にも、個別に相談してみましょう。区画整理組合が金融機関と提携していれば比較的借入れがしやすくなります。

建築基準法違反の建物や、市街化調整区域の物件は借入れが難しい

金融機関は、返済が延滞した場合には、競売などで担保物件を処分することがあります。処分しやすい物件であることも重要であり、法規制に抵触するものは売却がしにくいと考えられ、借入れすることは難しくなります。
  • 建築基準法に抵触しないか
    建物が、建築基準法に適合しているものであることが必要です。建築確認を受けていること、検査済証の交付を受けていることが要件となります。中古住宅の中には、建築時は建築基準法に適合していても、その後の法改正により、現在の法には適合しなくなってしまったものもあります。既存不適格と言われるものですが、このような物件も、借入れは厳しくなりますので、注意が必要です。

  • 都市計画法に抵触しないか
    市街化調整区域は、市街化を抑制すべき区域で、原則一般住宅などの建物を建てることができません。しかし、農林漁業者の住宅など一定の建築物は建築することが可能ですし、実際には、市街化調整区域の住宅を購入する人もいます。ただし、金融機関によっては、住宅ローンの対象地を「市街化区域に限る」としているところもありますので、市街化調整区域の物件についての借入れは、難しくなります。

なお、フラット35では、住宅の耐久性などについて住宅金融支援機構が定めた技術基準に適合していることが要件になっており、適合証明書の交付を受けることが必要となります。

新規購入時には借入れできても、借換えは難しくなることも

新規分譲の場合には、販売会社があらかじめ金融機関と提携し、提携ローンを用意していることから、比較的容易に借入れができてしまうことがあります。

一方、定期借地権付マンションや、市街化調整区域の物件などは、購入後、借換えようとした場合に、取り扱ってくれる金融機関が少なく、借換えができないというケースが見られます。このような物件を購入する場合には、将来、借換えをしなくてもよいように、当初のローン選びを、より慎重に行うことが重要です。

借入れする本人の返済能力に加え、以上のような物件についての項目についてもチェックされ、総合的に審査がなされます。何の準備もないまま、突然住宅購入を検討し始めると、思わぬところで、借入れができないということもあります。まずは、自分自身が借入れできるのか、いくらくらいの借入額が妥当なのかを十分に検討した上で、物件の基準を確認しながら物件探しをすると効率的でしょう。

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