年金不安の原因は国家人口の構造的な問題

公的年金は、さまざまな問題を抱えています。たとえ政治家がまじめに取り組んだとしても、たとえ社会保険庁が過去の罪を償ったとしても、それでもやっぱり未来は暗~いと、いわざるえません。

国家人口の構造的な問題だから、根が深すぎて期待できないのです。ならば、自分で対処するしかないでしょう。

公的年金が頼れない根本のワケ

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年金問題は、政策や法律の問題を超越して、国の人口構造に起因する重篤な危機です。
戦後の定年退職は50歳でした。そして、平均寿命は55歳。年金の受け取り期間は5年間だったわけです。年金という金庫の収入源である年金保険料は、ベビーブームの世代が大量に社会に出るようになると、ジャブジャブ入ってきました。支出が小さく、収入が増える構造の元で、公的年金は始まっています。「バラ色の未来」とは、その頃を象徴しています。

ところが、いまや定年後の生活は20から30年間ありますから、終身年金の支給が増え続けます(国は公的年金を死ぬまで払わねばなりません)。しかし、少子化で若者からの年金保険料は減っていきます。世代間扶助という今の根本を改めなければ、公的年金の破綻は自明の理なのです。

しかも、公的年金を運用しているポートフォリオは超保守的な資産配分なので、運用成績も悪く、拡大する収支ギャップを埋めることができません。

自分でリスクを負えば、今からでも間に合う

いっそのこと、国を頼りにしない自主自立の精神で臨んだ方が、私たちの老後を救ってくれそうです。そのためには、自分でリスクを負って、自分の老後をマネージメントすればよいのです。

日本人は投資下手でリスク商品が嫌いという民族論がよく語られますが、それは間違いです。今まで、国や雇用主に依存する人生に慣らされてきたせいで、お金を増やすニーズに気付かないできただけなのです。

公的年金だけでは経済的に足りない自分の老後を想像してみてください。たとえば、高度な医療が受けれない、災害が来るのが分かっていても逃げることもできない、適切な介護が受けれない、清潔で快適な家に住めないなどの事態を考えれば、金融商品のリスクなぞ、大したことはないんじゃないですか?

公的年金の危うさと老後のリスクに気が付いていただけたら、あとは自主年金をどう作るか?という方法論です。

複利の恩恵を使い倒す

新賢明なる投資家 上
お金を安全に大きく増やすには自己流ではダメ!欧米の資産運用術を学ぶ必要があります。
では、どうしたらよいか?投資の基本は、分散、長期、複利運用です。

【関連記事】投資の3原則は、分散、長期、複利運用!

この原則は、まさに年金運用の世界にぴったりなので、自主年金だからといって、特別に変わったことをする必要はありません。基本どおりの資産運用をすればよいのですが、むしろ、年金運用だからといって無駄なことをしてしまう人もいます。それは、分配金を受け取ることを前提条件としてしまうことです。

分配金を受け取るタイプの金融商品は、基本的に単利運用ですから、複利のメリットを享受できません。

たとえば、20年間毎月10万円の年金が必要な家計があると想定してください(運用利率は5%と仮定します)。

1.この家計に必要な金融商品を単利の分配型から探すとすれば、定年時には2,439万円の現金が要ることになります。

2.単利でなくて複利運用の商品を毎月10万円ずつ取り崩すと考えれば、定年時の必要資金額は1,521万円で足ります。

本人が亡くなるときに、前者の1なら定年時の2,439万円が丸々残っていますし、後者の2ではきれいに使い尽くしていますから、上記は単純に公平な比較となりませんが、複利が有利であることは、次のような試算でも感じてもらえるはずです。

3.定年時に2,439万円を年金資産として保有していた人が、それを複利運用して毎月10万円ずつ解約していきました。1と2の折衷ですね。さて、20年後にはいくら残ったでしょうか?

1のときよりも50万円ほど多い2,489万円になります。不思議ですねぇ~

企業年金などで、定年時に退職金を一時金として現金で受け取ることも、注意が必要です。たとえば、2,400万の現金を運用せずに食いつぶすプランです。年金資産から毎月10万円ずつ引き出したら20年でなくなってしまいますが、定年時から20年間にわたり複利運用を続ければ、20年後には2,383万円も残ります。

また、2,400万円を複利で運用しながら、20年間で使い切ってよいのであれば、毎月15万円を引き出すことができます。

以上の試算は、すべてオープン型、再投資型の投資信託を駆使することを想定して計算されています(手数料、税金等の経費は考慮していません)。

こんなややこしい話は面倒だという人には、もっと簡単な制度があります。

自主年金のための確定拠出年金個人型

投資の原則をフル活用して、年金資産を複利で増やしながら使っていく!これを実行するには、ファイナンシャル・プランナーなどの専門家やかなり勤勉で良心的な金融機関のアドバイザーが必要となります。

しかし、もっと簡単な方法があります。こうした年金受給者への対応があらかじめ想定されて作られているのが、確定拠出年金個人型(個人型401kあるいはDC個人型)です。

世の中の大勢としては、企業型に加入している人が多くて、個人型に関する情報が不足がちです。企業型は雇用主が導入してくれないと使えないので、自分の意思で自主年金を作るという人には、確定拠出年金個人型はおすすめの自主年金です。自営業者なら自由に始めることができますし、企業型のない会社に勤めている人は自分単独で加入することができます。

この年金制度は、複利の恩恵だけでなく、税制優遇も大きなものです。
○掛金が所得から控除できます(自営は月68,000円まで)
○年金として受け取るときに公的年金控除が適用されます


【関連サイト】個人型確定拠出年金(金融広報中央委員会)

積極的な運用指図をすれば、年金基金、小規模企業共済、年金保険などを上回る資産増を実現してきました。

自分のことには自分でリスクを負う!だから、リターンも期待できるわけです。今まで確定拠出年金個人型が利用できなかった方たちも、2017年1月からは加入できます(具体的には、企業年金のあるサラリーマン、共済年金のある公務員、専業主婦)。

小さな個人が巨大な年金基金に勝てるワケ

国や企業の大組織の年金は、きっと頭の良い専門家がしっかり運用してくれているのだろうと、だれもが期待しています。そこに思い込みのワナがあります。

皆さんが運用担当者だと想像してみてください。他人の年金資産を何百億円と預かっています。

その時に、自分の年金を増やすときのように合理的な、積極的な、挑戦的な気持ちでいれるでしょうか?ほとんどの人は、失敗したくない、すう勢に負けたくない、なんとか人並みの結果をだしたいと思うのではないでしょうか。人がそんな保身的になったときに重宝するのが、厚生労働省がお墨付きを与えてきた公的年金ポートフォリオです。

国内債券を50%超、外国株や外国債券を10%未満とあらかじめ枠組みをしている資産配分を真似ることで、自己保身の運用担当者たちは平凡な結果を出すことができます。まさに、運用リスクを「みんなで避ければ怖くない」という発想で、公的年金や年金保険は運用されているのです。

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私たちが、アセットアロケーション理論の基本だけを理解して、自分でリスクを引き受ければ、保守的がゆえに成績の悪い年金を上回ることはかなり簡単です。

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