ひき逃げの定義と、取るべき対応を確認しておこう
後を絶たない交通事故。さまざまな形態の交通事故がありますが、今日はその中のひき逃げについて考えてみたいと思います。ひき逃げ自体が卑劣な行為であることはいうまでもありませんが、少し視点を変えた事例に沿って検証してみましょう。
事例:逃げたつもりはないが……ひき逃げか?
先を急いでいるときの交通事故。このときの判断がその後の人生を変えることもあります。
いまは幸いにして道が混んでいないので、このままのペースでクルマを走らせれば何とかなりそうだ。住宅街に入り、小さな交差点に差し掛かった瞬間、左方から自転車に乗った男の子が出てきた。
「危ない!」キキィ~~~~~~!……一瞬の出来事だった。直接ぶつかりはしなかったようだが、ほんの少し擦ったような感覚はあった。男の子の乗った自転車は倒れていた。
Eさん:「ボク、大丈夫?」
ケガはたいしたことはなさそうに見えるが、ひざを少し擦りむいている。
男の子:「うん」
Eさん:「痛いところはない?」
男の子:「うん」
救急車を呼ぼうか迷ったが、ケガはそんなにたいしたことはなさそうだし、救急車を呼んでいたらとても大事な商談に間に合わない。この商談を逃したら大変なことになる……。
Eさん:「ボク、本当に大丈夫?」
男の子:「うん、大丈夫だよ」
Eさん:「じゃあ、おじさんは行くけど、もし痛くなったらちゃんと病院に行くんだよ」
取引先には何とか間に合い、商談も上手くいった。ちょっとハプニングがあったものの大事にいたらずに済んだ。
翌日、自宅のインターホンが鳴った。警察だった。
警察:「Eさんですか?」
Eさん:「はい。何でしょうか?」
警察:「昨日、○○市○○町で、小学生の男の子と交通事故を起こしませんでしたか?」
どうやら、家に帰った男の子が母親に話したところ、心配になった母親が警察に届けたらしい。また、事故現場の向かいにあるマンションの住人が一部始終を見ており、クルマのナンバーを控えていたとのことだった。
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