損害保険/火災保険の基礎を学ぼう

火災保険の構造級別を判定する方法

火災保険料には保険の目的物の所在地と構造が大きく影響します。火災保険の構造級別はどのように決まっているのか? 構造級別の基本と物件の判定について解説します。

平野 敦之

執筆者:平野 敦之

損害保険ガイド

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建物の「構造級別」は火災保険料を決める要素の一つ

火災保険の保険料が、その対象となる建物の構造や地域によって異なることはご存じの方も多いと思います。

では、その構造にはどのような種類があってどう区分けされているかご存じですか? コンクリート構造や木造、鉄骨などの違いがあるのは分かると思いますが、建物の構造が火災保険の分類上どのように分けられるは、あまり馴染みはないでしょう。

火災保険の契約をしていても、意外とこれらの関係までは細かく見ないものです。建物の構造判定については、数年前の保険料の過払い(保険料の払い過ぎ)問題の原因の一つでもありました。今回は火災保険の構造級別についてお話ししましょう。

火災保険における「物件」は用途によって分類される

火災保険では、保険目的となる該当物件の用途によって次のように分類されます。

・住宅物件
・一般物件
・工場物件
・倉庫物件

火災保険では、対象物件がこれらのどれに該当するか、物件種別の判定をします。それによって付帯する火災保険商品(つまりその火災保険の約款)や保険料率が適用されるわけです。この記事をご覧になっている方も、たいていは住宅物件か一般物件に該当するケースが多いはずです。

住宅物件はその名のとおり、戸建てやマンションなど専用住宅・共同住宅などが主な対象です。一般物件は事務所や店舗など他の3物件を除くものが該当します。ちなみにお店を併設している住宅(店舗併用住宅)などは一般物件となりますのでご注意ください。

火災保険の構造級別と解説図

火災保険は「その建物の主要構造部が何でできているか」でも保険料に違いが出ます。主要構造部の素材の違いによって、火災や災害のときなどに燃焼・損害の程度が異なるためです。主要構造部というのは具体的には、「柱」「はり」「床」「外壁」「屋根」「小屋組」となります。
建物の主要構造部

建物の主要構造部

しかし、こうした判定基準は2010年の火災保険の改定によって簡素化されています。具体的には建物の種類(上記と異なり柱の材質のみをみる)や耐火性能によって構造級別の判定を行います。

火災保険の構造級別の種類

では、一般的な火災保険の構造級別にはどのような種類があるのかを見てみましょう。下記のとおり、住宅物件、一般物件ともに3区分に分類されます。

住宅物件:M構造、T構造、H構造
一般物件:1級、2級、3級

大まかにいうと、M構造・1級に近づくほど、火災・災害に強く保険料は安く、H構造・3級に近づくほど、火災・災害に弱く保険料は高くなります。

火災保険の構造級別の中身は?

火災保険の構造級別は、建物の種類(材質)や耐火性能によって決。
構造による物件種別の判定

構造による物件種別の判定


火災保険の構造級別の判定方法

これらの構造判定は、具体的にどのように行うのでしょうか? 2010年に火災保険の改定が行われたことによって、かなりの物件の判定が簡単になりました。外観から判断がきかないようであれば、建物の概要が記載されている資料で判断することになります。

●建物の種類の確認
建物登記簿謄本、宅地建物取引業法に基づく重要事項説明書、納税や不動産取引の書類

●耐火建物、準耐火建物、省令準耐火建物の確認
1. 施工者や住宅メーカーなどの業者から証明を取り付ける
2. 住宅金融支援機構特約火災保険の保険証券、パンフレットや設計仕様書などによる確認(省令準耐火建物の場合)
3. 建築確認申請書による確認(耐火建築物・準耐火建築物の場合)

いずれにしても購入・建築してから何十年も経つと書類を紛失しているケースも多いようなので気をつけてください。構造級別の判定はかなり簡単になりましたが、必要な書類があった方がいいのはいうまでもありません。

損害保険ガイドから今回のポイント

火災保険の構造級別判定は重要。そのためにも購入時・新築時の各書類は保管しておこう。

※保険会社・保険商品によって内容が異なることがあります。加入の際には必ずご確認下さい。

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省令準耐火構造と準耐火構造の違い
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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