中毒その9●住宅ローンは資産作りだからいいと思っている人
もうひとつ、マネー中毒を紹介しておきたいと思います。それは「住宅ローン」という名の中毒です。「ええ? 住宅ローンをすることは中毒じゃないでしょう?」という声が聞こえますが、やはり住宅ローンも借金であることには変わりありません。不動産の価値があるといっても「国民の資産がこれだけあるから国債は借金じゃない」といいわけするようなものです。素直に「借金」と認めておくのがいいと思います。
「家は夢だから関係ない」とか「家は資産だから問題ない」とか「家賃と返済額は同額だから(返済のほうが安いから)かまわない」とか、前提をおいて住宅ローンを進める人は皆「あなたに売りたい人たち」ではないでしょうか? 不動産会社はあなたがローンを組めば家が一軒売れます。銀行はあなたがローンを組めば数十年も金利で儲かります。死んでも保険でモトを取るし、地震で家がつぶれても借金はそのまま残ります。不動産会社も知ったことではありません。ついでにいえば無料の住宅情報誌のスポンサーは誰でしょうか? そう。「売りたい人たち」です。
ローンとあなたの基本的な構図は、決してあなたが有利とは限りません。借金の最後のケリはあなた自身がつけなければならないわけです。ですから、住宅ローンも要するに借金だと認めたうえで、その活用を考えることが必要なのです。
借金だと考えると住宅ローンはなかなか怖い借金です。借入額は人生最大の高額なものですし、毎月の返済額も家計に占める支出の上位を占めるはずです。安易に考えられるものではないわけです。
今の時代、「ローンを返せなくなるリスク」は高まっています。会社はつぶれるかもしれませんし、リストラされるかもしれません。売上げがダウンしてボーナスが減ってしまうかもしれません。いくら景気が回復したといっても、数十年続くとは限りません。しかし、あなたの年収が減ってもローン残高は減りません。油断は大敵、気を引き締めて住宅ローンとつきあっていくことが大切です。
住宅ローンに関するマネー中毒をデトックスする第一は「甘く見ない」ということです。アルコールで痛い目にあったことがある人は実感できるかもしれませんが、軽く考えてしまうのは、もっとも危険なことです。とにかく、住宅ローンを厳しい目で見ることが大切です。そして借りるときは「少なく、短く、低利で借りる」こと、借りてしまった場合は「できるだけ早く返すこと」が必要です。毎月の家計をやりくりする中で、ローンの返済を加速させるのはしんどいかもしれません。しかし、ほったらかしにしてトクすることはまずありません。将来地価は急上昇し、インフレが進めば、ローン自体はラクになりますが、それ以外の部分で苦労することになるでしょう。
住宅ローンという「当たり前」をもう一度疑ってみてはどうでしょうか。実は世間の風潮に中毒になっているかもしれませんよ。
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