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初卵を抱えた「せこ蟹」

メスのずわい蟹を丹後地方では「せこ蟹」と呼びます。濃厚な蟹味噌と内子の味わい、甘い身、そして独特な外子の食感。小ぶりながら、多くの食通に愛される冬の日本海の味覚です。これを、濃厚な茹で汁で熱々を食す。

執筆者:萩原 章史

せこ蟹
活けの 初卵のせこ蟹 値段はランクによります。1匹800円から1500円

初卵とそれ以外との違いは、足を見るとわかります

せこ蟹
初卵のせこ蟹 白くてきれいな足
せこ蟹は一生の間に何度も子を持ちますが、最初に子を持ったせこ蟹はひときわ美味です。地元のプロの間では、「初卵のせこ蟹」と呼ばれ、珍重されます。

せこ蟹
2度目の抱卵?少し焼けた感じです
2度目、3度目、4度目と数を重ねる毎に、蟹はつやを失い、味も落ちてきます。
簡単に言えば、だんだんと年寄りになるということです。

せこ蟹
3度目の抱卵?だいぶん焼けていますが、これでもかなり美味でした
初卵のせこ蟹 それもサイズが大きな上物は、せこ蟹漁の1%にも満たないレアものです。見た目が美しいだけではなく、卵の色も濃く、身の味わいも洗練されています。

美味なせこ蟹を、何千匹もの蟹のエキスが溶け込んだ茹で汁で仕上げる!

せこ蟹
魚政さんでは、1度に何百匹も茹で上げます
蟹は茹でたてが一番とお思いの方は多いです。味としては、冷蔵して肉質や味噌を締めてからが美味というのも定説ですが、やはり、茹でたての香りとジューシーな肉質は、冷蔵して落ち着いた蟹にはない魅力です。

但し、大量に茹でる産地の茹で釜と、同じ味を家庭ではなかなか出せないのも事実です。塩加減も慣れないと分かりにくいかもしれません。

何と茹で汁まで一緒に宅配してくれます!

せこ蟹
これが何千匹もの蟹のエキスがつまった湯がき汁
丹後半島の水産仲買人の魚政さんは、せこ蟹のシーズン、毎日、何千杯も蟹を茹でます。鳴き砂で有名な琴引き浜のきれいな海水から作った天然塩と地下水だけで、獲れたての蟹を絶妙な具合に茹で上げます。

その何千匹もの蟹のエキスが染み出した茹で汁を漉して、真空パックして、活けの蟹と一緒に送ってくれます。

この汁さえあれば、プロ顔負けの味が出せます。

先ず蟹を真水で締めます。こうしないと、蟹が足を自切(足がもげる)します。

せこ蟹
先ずは真水に入れて成仏してもらいます
15分も真水の冷水に入れておくと、蟹は静かになります。

特別な茹で汁を大きな鍋に移し、火にかけます。汁をなめると分かりますが、かなり濃厚な蟹テーストです。塩加減もばっちりです。

せこ蟹
お腹を上にして茹でます
せこ蟹はお腹を上にして、沸騰した鍋に入れます。蓋をして、再沸騰したら、火を弱めて、ふきこぼれないようにします。ふつふつと沸いている状態で、約15分で茹で上がります。

次ページで、せこ蟹を堪能します>>
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